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『バイバイ・ブラザー』第1巻 神葉理世 【日刊マンガガイド】

2015/07/03


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『バイバイ・ブラザー』第1巻
神葉理世 講談社 \429+税
(2015年6月12日発売)


このタイトル、アルファベットで綴ると『BiBi Brother』。
さようならお兄ちゃんではなく、「バイ」リンガルで「バイ」セクシャルなお兄ちゃんに翻弄される女子高生のお話、なのである。

小鳥遊琴乃(たかなし・ことの)、高校1年。
超優秀な兄に比べられる少女時代を送っていたが、彼が留学して6年たち、違う高校に進学してようやく兄の陰から抜け出せた状態だ。
琴乃はクラスのハルチこと晴一(はるいち)と、友だち以上恋人未満の関係。

恋人になりたいが今の雰囲気も壊したくなくて……そんな彼女の前に、突然、兄の優雅(ゆうが)が帰国。
老若男女問わずとりこにしてしまう、イケメンモテオーラ全開の優雅。
そしてなぜか晴一に興味を持った優雅に、琴乃はパニックするが――。

兄と比較されていた引け目から自分に自信がなく、素直にふるまえず、初めて彼ができそうなチャンスにも臆病な琴乃。
そんな妹をからかうように晴一に迫り、それでいて晴一と琴乃の恋の進展に背中を押したりもする兄・優雅。
優雅のトリックスターぶりはみごとで、なかなか本音をのぞかせない、謎めいた見せ方が興味をそそる。
今のところ、妹の恋を深める立場を優先しているようだが、はてさてこの先は……?

同梱(期間限定)の描きおろしペーパーにある裏話によると、この作品、担当編集の「少しBLテイストを織り交ぜてみたい」ということから始まったとのこと。
NL(ノーマルラブ。いわゆる普通の男女恋愛)が好きな読者はBLに強い反発があるというのは定説で、そういう意味ではこの『バイバイ・ブラザー』はタブーに挑戦していることになる。

とはいえあくまでもBL「テイスト」であってBLそのものではないし、特にそれが鼻につくこともなく、むしろいいアクセントになっていると感じる。
このままのさじ加減で進むのか、それともあっと言わせる番狂わせがあるのか?
楽しみに見守りたいと感じる作品だ。



<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」

単行本情報

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