『江戸川乱歩怪奇漫画館 屋根裏の散歩者・陰獣 他』
江戸川乱歩(作) 古賀新一(画) 実業之日本社 ¥1,000+税
爛々と暗闇で輝く眼、陰影の入り方、そしてそのプロット。
『エコエコアザラク』や『妖虫』など、怪奇マンガで知られる古賀新一の作品が、、いまだトラウマという読者も多いのではないだろうか。
本日8月18日は、その古賀新一の誕生日。
1936年生まれ・福岡県大牟田市出身の古賀は21歳のときに上京して、漫画家の道へ。ここまで現役であり続けて、来年2016年は傘寿(80歳の祝い)ということになる。
いっぽう、今年没後50年を迎えるのが、推理小説家でやはり幻想怪奇の世界を描き続けた江戸川乱歩だ。
乱歩は1894(明治27)年生まれで、満70歳となる1965年に惜しまれながら逝去している。
その乱歩の没後50年記念企画として出版されたのが、『江戸川乱歩怪奇漫画館 屋根裏の散歩者・陰獣 他』だ。
原作はもちろん江戸川乱歩で、作画を担当しているのは古賀新一。本書は古賀が過去にマンガ化した乱歩作品で構成された作品集で、表題作2作のほか、『人でなしの恋』が収録されている。
ある種、夢のような組み合わせで、怪奇エンタテイメントの第一人者同士のタッグということでは悪夢のような味わいも見せてくれる一冊。
3作品とも描かれている時代が違うため、著者の絵のタッチや演出のテイストの違いも楽しむことができる。
江戸川乱歩没後50年の今年に、そして古賀新一の誕生日に読むのにふさわしい作品集だ。
その不気味さと恐ろしさにおいては、夏の寝苦しい夜にもぴったりといえるかもしれない……。
<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌『ぴあMovie Special 2015 Spring』が3月14に発売に。映画『暗殺教室』パンフも手掛けています。