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9月2日は宝くじの日 『ジョジョの奇妙な冒険』を読もう! 【きょうのマンガ】

2015/09/02


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『ジョジョの奇妙な冒険』第36巻
荒木飛呂彦 集英社 ¥390+税


「宝くじの日」は、昭和42年に宝くじの発売元と当選金を受諾できる銀行によって、「く(9)じ(2)」の語呂合わせとして9月2日に制定された。
この日はハズレくじの下4ケタを利用した、1年間の時効をオーバーし、無効となってしまう当選金「時効当選金」による敗者復活戦を行う「宝くじの日記念お楽しみ抽選」の実況中継をはじめとする、様々な宝くじがらみのイベントが行われている。

『ジョジョの奇妙な冒険』読者にとって、宝くじといわれてまず思い当たるのが、杜王町を舞台とする第4部「ダイヤモンドは砕けない」に登場するスタンド「ハーヴェスト」と、スタンド使いの矢安宮重清(やんぐう・しげきよ。通称・重ちー)にまつわるエピソードだろう。

複数の個体を活かした集団行動でパワーを発揮する群体型スタンドの特性を利用し、自販機の隙間などに落ちている小銭を回収して荒稼ぎする重ちー。
金欠で困っていた第4部の主人公・東方仗助は、重ちーのスタンド能力を利用し、捨てられている宝くじの券を回収して換金するというアイデアを思いつくのだった。

仗助のアイデアは功を奏し、ハーヴェストは500万円が当選する宝くじの当選券を回収してくるのだが、そこで山分けしてハッピーエンドとならないのが『ジョジョ』らしい。
500万という金額を前にして欲に目がくらんだ重ちーは山分けを渋りはじめ、仗助・億泰コンビと金をめぐっての激闘を繰り広げることに……。

日常における様々なスタンド活用法が描かれる第4部のなかでも、トップクラスにうらやましくなる名エピソードであること疑いなしなのだが、500万の当選くじを前にして「ぎゃああああああ―――!!!」と目をひん剥きながら歓喜する仗助と億泰の「黄金の精神」が欠片も感じられない表情を筆頭に、金に目がくらんだキャラたちの必死さがおもしろすぎである。

この一連の話をきっかけに重ちーは仗助たちの友人となるのだが、登場時には清々しいほど欲望に従順な男であった彼も、その後は第4部のラスボスである殺人鬼・吉良吉影を追う手がかりをつかむという命がけのファインプレーを見せるのだから、世の中わからないものだ。



<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
Twitter:@gakuton

単行本情報

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