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『老女的少女ひなたちゃん』第1巻 桑佳あさ 【日刊マンガガイド】

2015/09/18


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは『老女的少女ひなたちゃん』

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『老女的少女(おばあちゃんしょうじょ)ひなたちゃん』第1巻
桑佳あさ 徳間書店 ¥600+税
(2015年8月20日発売)


「老女的」と書いて「おばあちゃん」と読む桑佳あさの最新作は、交通事故で88歳の生涯に幕を閉じたはずの“とよさん”が記憶を残した状態で生まれ変わり、現代少女の“ひなたちゃん”として新たな人生をスタートする物語。

ひなたちゃんは現在、幼稚園児。とよさんに換算すると軽く90オーバー!
実際はバリバリの大正生まれで、太平洋戦争を乗り越え、高度成長期を目の当たりにしてきた世代だけに、周囲の人間は全員年下で、両親や先生ですらも人生の大後輩。
そんな彼女がイマドキの幼稚園児を演じるのは、なかなか無理がある。

ついつい縁側でどくだみ茶をすすったり、一人称が“オレ”になったり、お友だちが風邪のときは大根アメを作って飲ませたり、大根のそぼろあんかけが大好物だったり、巣鴨トレンドなファッションを身にまとったりと、お婆ちゃん要素が前面に出てきてしまうのだ。

それでも、ときおり童心に返って無邪気な笑顔を見せる“ひなたちゃん(とよさん)”が、なんとも言えずキュートで思わずニンマリ。

一方、ギャップ萌えやコメディ要素だけでなく、大きなミステリーが背骨になっている。
それは「とよさんがなぜ、記憶を持ったまま転生してしまったのか?」ということ。どうやら何か大きな心残りを抱いたまま亡くなったがために、記憶を持ったまま生まれ変わったようなのだ。

はたして、とよさんはなんの目的で生まれ変わったのか? 波乱含みのまま次巻へ!



<文・奈良崎コロスケ>
マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。著書に『ミミスマ―隣の会話に耳をすませば』(宝島社)など。

単行本情報

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