365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
10月9日は世界郵便デー。本日読むべきマンガは……。
『G.A.P ~転居先不明郵便課~』第1巻
金子良馬(作) 夏元雅人(画) 少年画報社 ¥570+税
全世界をひとつの郵便地域にすることを目的に発足した、万国郵便連合。
本日10月9日は、1874(明治7)年にその万国郵便連合が設立された日で、同連合がそれを記念して1969(昭和44)年に制定した“世界郵便デー”となっている(元“UPU=Universal Postal Unionの日”で1984年に名称変更)。
記念日を含む1週間は“国際文通週間”に定められていて、毎年“国際文通週間にちなむ郵便切手”が発売されるなど、郵便にスポットが当たる期間となっている。
いっぽうで、決して日の目を見ない郵便というのもある。それは、金子良馬・夏元雅人『G.A.P~転居先不明郵便課~』で描かれる、「テンビン」こと「転居先不明郵便課」の郵便だ。
同作は、5歳の頃に神隠しに遭い、それ以前の記憶を失ってしまった男子高校生・間地那央人(まじ・なおと)を主人公とした、人と精霊が織りなす民俗ミステリー。
那央人は謎の非常勤講師・姫島美玖(ひめじま・みく)と、彼に取り憑いた精霊・こよりの手引きで、ある役目を負わされることになる。それは、郵便配達。
彼が届けるのは、ただの郵便ではなく、また届ける相手も人ならざる存在だ。地名を失って荒ぶる土地の精霊を鎮める“精霊郵便”、それを運ぶ“精霊脚夫”こそが、那央人に課せられた役目だ。
民俗ミステリーとあるように、実在する土地の旧称や故事・伝承なども知ることができるのが、本作の興味深いところ。
また、精霊のもとにたどり着き、郵便を届けるためにさまざまな謎を解かなければいけないという点に、ミステリーの醍醐味がある。
世界郵便デーに異界の郵便に触れてみるのも、おもしろいのでは?
<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌『ぴあMovie Special 2015 Spring』が発売中。映画『暗殺教室』パンフも手掛けています。