日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『女子大生の日常』
『女子大生の日常』第3巻
津々巳あや KADOKAWA ¥524+税
(2015年9月19日発売)
先に言うけどさあ。これ、全然「日常」じゃないですよね。
もっとこう、女子大生あるあるとか、ドキドキとかを期待してたら、全然違うじゃん! と思ったら著者は、担当編集者からも『のんのんびより』(本作と同じく「月刊コミックアライブ」で連載中の大ヒット日常系作品)などを読むように言われたそうで。
舞台は徳島県の教育大学。
ガサツで子どもっぽくて無頓着極まりないカレン、りりしい見た目かつ元ヤンのくせに極度に男嫌いな空、そんな空が大好きで子どもは大嫌いな謎の美女・より美の3人。空とより美が、それぞれの「男嫌い」「子ども嫌い」を乗り越えて家庭教師を目指すべく設立した「家庭教師サークル」に、カレンが参加するところから物語は始まる。
1巻の時点ではまだ、家庭教師の話が中心だった。しかし3巻ともなると(コラムマンガ以外で)その話題に触れることはほとんどなくなってきた。
特により美。空が運転免許場で教官に運転技術を教えてもらっているのを見て嫉妬。より美は戦車を持ち出し砲撃を食らわせる。
走り屋が多い鳴門では、運転免許を取ったばかりの空の車が煽られる。だが同乗していたより美の顔を見るなり、「より美姐さん!」と挨拶される。テクもスピードもナンバー1らしい。
第3巻では、彼女らを慕う面々を中心に描かれている。
カレンが好きでドMの麻利亜、空とより美を「黒バラの君」「白ユリの姫」と名づけて宝塚的に憧れる、後輩の律華。
『女子大生の日常』といっても、男性キャラが出てこないわけじゃない。
しかし空に寄ってくる男はだいたいより美に蹴散らされるし、合コンをやれば、男どもより空とより美がかっこよすぎて、女の子はみんな2人の方に惚れてしまう。
ようやくまともな男子の後輩が出てきたと思ったら、同性の友情が深すぎて女に興味なし。
この「同性同士のほうが気楽なんじゃない?」という空気は、巻を重ねるごとにどんどん強くなっていく。
起きている出来事が派手すぎて、とても「日常」ではない。
けれど、同性だけで過ごすことでゆるんでいく空気は、確かに「大学生」の「日常」的な感覚だ。
とはいえ、蛍をわざわざ見にいって、カレンが「ゴキブリのケツが光ってるだけだね」と言って終わるあたり、『のんのんびより』とはやっぱり真逆だと思います。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」