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10月30日は高橋尚子(陸上選手)に国民栄誉賞が授与された日 『奈緒子』を読もう! 【きょうのマンガ】

2015/10/30


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

10月30日は高橋尚子(陸上選手)に国民栄誉賞が授与された日。本日読むべきマンガは……。


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『小学館文庫 奈緒子』第1巻
坂田信弘(作) 中原裕(画) 小学館 ¥581+税


2000年の10月30日、シドニーオリンピックで金メダルを獲得した高橋尚子に国民栄誉賞が授与された。

実力に加えて明るいキャラも人気のマト、「Qちゃん」の愛称で親しまれた彼女は、注目された大舞台でみごと期待に応えてみせた。34キロメートルすぎでサングラスを投げ捨て、スパートをかけたドラマティックなシーンは何度放映されたことか……。
五輪最高記録(当時)をたたき出し、日本女子陸上で初の五輪金メダルを獲得した功績から、国民栄誉賞受賞に至った。

さて、そこでオススメしたい激アツの長編陸上マンガ、タイトルは奇遇にも『奈緒子』!

主人公の壱岐雄介は、かつて「日本海の疾風(かぜ)」と呼ばれた父の資質を受け継ぐランナーだ。
父・健介は経済的な事情から陸上の道をあきらめたが、雄介が日本一のマラソンランナーになることを夢見ていた。しかし健介は、雄介がまだ幼い頃に海に落ちた少女を助け、命を落としてしまう。その少女こそが、ヒロイン・奈緒子なのである。

雄介は小学生時代から短距離走や走り幅跳びなどで注目されるが、徐々に長距離ランナーとしての道を歩みはじめる。
まるで本当のレースを見ているようなスピード感、デリケートな体と心のコンディションに気を配りながら、己を奮い立たせて走るランナーたちの喜びと苦しみが我がことのように感じられる、レースの場面は圧巻だ。

ことに高校駅伝での、チームの仲間たち一人ひとりの性格や持ち味をとらえた走りの描写は、長距離競技のおもしろさを存分に伝えてくれる。
駅伝を経てマラソンへ……雄介はやがてオリンピックの夢舞台へ!

雄介が尊敬する父を失ったのは、小学1年生のときである。その原因を知る彼が、奈緒子を憎まずにいられるわけはない。
しかし、奈緒子は罪悪感に苛まれながらも雄介の走る姿を常に見守り続ける。3歳年下の雄介を心から応援するその想いは、やがて特別な感情へと変わっていき……。

原作の坂田信弘は『風の大地』(かざま鋭二・画)をはじめ、スポーツマンガに独特の詩情をマッチさせた作風で知られる。一方、作画は『ラストイニング』(神尾龍・作 加藤潔・監修)を手がけた中原裕。リアルで説得力のある描写は折り紙つきだ。まさにアスリートに通じた最強タッグといえるだろう。



<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」

単行本情報

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