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『衛府の七忍』第1巻 山口貴由 【日刊マンガガイド】

2015/11/15


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『衛府の七忍』


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『衛府の七忍』第1巻
山口貴由 秋田書店 ¥562+税
(2015年10月20日発売)


山口貴由の新作『衛府の七忍』第1巻が10月に刊行された。

ときは、戦国の覇者となった徳川家康が大君の座について間もないころ。
巷には豊臣残党狩りの自由権限を与えられた荒武者や民兵たちによる粛清と蛮行の嵐が吹き荒れていた。

幕府の意にそわぬ者が老若男女も身分も問わず狩り殺されていくなか、無惨なる死を迎えた者のうちから執念の蘇りを果たして怨霊変身の忍者と化す者が現れる。
真田家臣の娘に出会った山民の若者が、大坂城から落ちのびた女中と夫婦になった湯屋の用心棒が、そのほかあわせて7つの命が、今超常の忍法をもって強大な支配者へ反撃の狼煙をあげる!

と、ワクワクする要素しかない一大伝奇時代活劇だ。
これほど「このマンガがすごい!」という形容がうってつけな幕開けもなかなかない気がする。

山口貴由作品は、『シグルイ』によって南條範夫の小説ベースで時代劇イズムと血まみれ内臓まみれエロスまみれの残酷官能絵巻の粋を極めたのち、既存作の集大成に取り組んだ『エクゾスカル 零』でハード&シリアスな側面を徹底的に研ぎすませていた。

いくところまでいった、という感もあって次はいったいどうなるかとファンが気をもんでいたところに投げこまれた大爆弾が本作である。
山田風太郎テイストな世界観に特撮ヒーロー仕立て(零鬼のぎょろ目がインパクトある造形は『変身忍者嵐』だろうか)を乗せて、熱血ドまじめとくだけたユーモアが同居するさまは『蛮勇引力』以前に目立っていたアプローチの再生で、さらにカクゴ、銀狐、動地一家の憐……と『覚悟のススメ』ほか既存作からスターシステム的にキャラクターが顔を出すことで、山口貴由ワールド集大成の再チャレンジにもなっている。

第1巻では、1人目の怨身忍者が覚醒したあと、2人目のエピソードが大づめにさしかかったところ。
ぜひ、7人勢ぞろいするところまで続いてほしい。
どうも徳川家康は巨大ロボに乗って戦うらしいほのめかしが描かれているので、最終決戦がどんなはっちゃけた絵ヅラになるのか、今から楽しみでしかたない。



<文・宮本直毅>
ライター。アニメや漫画、あと成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム30年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論』(総合科学出版)。『プリキュア』はSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7

単行本情報

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