365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
11月16日はエド・ゲインの連続殺人が発覚した日。本日読むべきマンガは……。
『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚 完全版』第17巻
和月伸宏 集英社 ¥1,143+税
本日11月16日は、米国犯罪史上もっとも有名なひとりといっても過言ではない殺人鬼・エド・ゲインの犯罪が発覚した日だ。
熱烈なキリスト教信者にして、自身を厳しく抑圧していた母の死後から、彼の犯罪は始まる。
ゲインは母の死後から1956年に逮捕されるまでの間、大量の死体を墓から掘りだして加工し、のちに警察の家宅捜査によって明らかになるおぞましい「作品」を創造していった。
人間を解体して製作した服や家具など、あまりにも一般的な常識からかけ離れているゲインの犯行は全米に大きなショックを与え、その影響は現実世界だけに留まらず、フィクションの世界にも及んでいる。
ゲインの登場以後、ゲインをベースにしたキャラは大量に生みだされるようになり、映画『サイコ』に登場する狂人・ノーマン・ベイツに始まり、映画『悪魔のいけにえ』のレザーフェイスなど、そのバリエーションは枚挙にいとまがない。
今回紹介する『るろうに剣心』のキャラクター・外印(げいん)も、名前どおりエド・ゲインをベースとしているキャラだ。
機巧芸術家(からくりあるていすと)を自称する外印は、中世より続く人形師の末裔。死体を加工して本物そっくりの屍人形を作るエキスパートなのだ。
外印は主人公・剣心と対立する志々雄真実(ししお・まこと)や雪代縁(ゆきしろ・えにし)の側の人間として常に現れるが、特に私怨があったり、志々雄たちの考えに賛同していたからではない。その目的は、自身の美学を追求するということだけなのだ。
そんな飄々とした性格に加え、戦いも強く、マスクの下の素顔はさぞかっこいいのであろうと、だれもが想像した外印。……しかし、終盤で素顔がジジイであることが判明。
往生際の悪いその末路もあいまって、げんなりした人も多かったのではないだろうか。
その後、よほどその最期に対して反響が大きかったのか、完全版のカバー下に描かれているキャラクターリデザイン企画「剣心再筆」内ではイケメンへと進化をとげており、実写映画版でも綾野剛演じるイケメンキャラに。
実写版の見どころのひとつである力が入ったアクションシーンで、華麗な立ちなわりを披露している。
すっかりイケメンキャラとなった外印だが、あの素顔あってこその魅力も忘れないでいただきたいところだ。
<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
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