365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
11月18日はミッキーマウスの誕生日。本日読むべきマンガは……。
『ミッキーマウス名作漫画集』
エグモント・ジャパン(編) 宇井秀雄(訳) 河出書房新社 ¥3,800+税
11月18日といえば、世界的人気キャラクター・ミッキーマウスの誕生日(スクリーンデビュー)。
1928年の11月28日に、ニューヨークはコロニー劇場にて、ミッキーが登場するモノクロのトーキーアニメーション『蒸気船ウィリー』が公開された。
ウォルト・ディズニーによる制作順としては、サイレントアニメーションの『プレーン・クレイジー』、『ギャロッピング・ガウチョ』に続く3作目ながら、アニメーション初のトーキー作品を売り文句に、『蒸気船ウィリー』が初公開作となったわけだ。
その後の爆発的な躍進はいまさら説明するまでもないだろう。
ミッキー初のカラー作品『ミッキーの大演奏会』(1935年)、『ファンタジア』(1940年)と短期間で驚異的としか言いようのない表現上の洗練を達成する(とはいえ最初期作品もすばらしいので観ていただきたい!)とともに、映画製作やディズニーランドなどのテーマパーク・リゾート事業で世界的かつ歴史的な成功を収めている。
ただ、日本では充分に知られていないこととして、アメリカでのミッキー人気を下支えした要因のひとつに、1930年1月から新聞で連載されたミッキーマウスのマンガ作品が挙げられる。
ミッキーの登場する映画は断続的にしか製作されてこなかったが、このマンガは(ごく初期のみアブ・アイワークスらが手がけていたが)フロイド・ゴットフレッドソンの手により45年以上にわたり描かれ続けてきた。
『ミッキーマウス名作漫画集』(全2巻)は、その貴重な翻訳コミックスである。
ミッキー生誕70周年を記念しフルカラーで出された本作には、ビッグビジネスになることでお行儀のいいマスコットと化す以前の、いたずらっ子の悪ガキで、デザインも現代のものとはだいぶ異なった、原初のミッキーマウスの姿が活写されている。
ミッキーマウス保護法とも呼ばれるアメリカの著作権(知的財産権)がTPPがらみであらためて取り沙汰されている昨今、アニメ映画とあわせてひもとく価値があるだろう。
<文・高瀬司>
批評ZINE『Merca』(アニメルカ×マンガルカ×ジャズメルカ)主宰。アニメ/マンガ論を『ユリイカ』などに寄稿。インタビュー企画では「Drawing with Wacom」などを担当。
TwitterID:@ill_critique
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