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『フミちゃんの東大受験日誌』 松本勇祐 【日刊マンガガイド】

2015/11/23


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『フミちゃんの東大受験日誌』


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『フミちゃんの東大受験日誌』
松本勇祐 双葉社 ¥700+税
(2015年10月28日発売)


勉強にまったく縁のない女子高生・フミちゃんこと柳澤フミコが、同じく高校生ながら完璧好青年の王子様であるソーマ君(水谷奏馬)への恋心と勘違いから、東京大学を目指すギャグ4コマ。

東大受験がテーマといっても、なんせフミちゃんは「センター試験」と聞いてアイドルを思い浮かべるレベルからスタートしているため、たとえば『ドラゴン桜』のような具体的な方法論はほとんどなく、純粋に思いこみで勉強にも恋にも自由に暴走しちゃう、かわいいコメディだ。
おバカキャラであり、育ちのいいソーマ君の母にドン引きされるようなギャル姿だが、根が素直なフミちゃんは「現実的に考えて無理」と判断する小ざかしさがないぶん、超前向きに東大受験を目指して努力していき、読む方も元気になれる。

以前、東大に息子たちを入学させた母親が、受験に恋愛は不必要、と発言し物議をかもした。
あくまでマンガの話ではあるが、フミちゃんほどでなくても「好き」や「恋」こそがいろいろなものの原動力になる女の子は多いと思う。
ソーマ君が好きなライバルの村田佳奈美(ムラカナ)も、高飛車だが中学生並みの童顔小柄であり、筋をとおす性格がなんとも憎めない。彼女たちと「同志」になれたことは、エリートのソーマ君にとっても、ひとりで机に向かい続けるよりもずっと有意義だったはず。

ちなみに、フミちゃんの親友・マリカがさりげなく偉い。
フミコがどんなに受験に無知でも、高度なボケをかましても、冷静にアドバイスを与えツッコミを入れ、落ちこんだらフォローする。『ビリギャル』の塾講師並みにスゴイのではないか? 彼女にもぜひ幸せになってほしい。



<文・和智永 妙>
「このマンガがすごい!」本誌やほかWeb記事などを手がけるライター、たまに編集ですが、しばらくは地方創生にかかわる家族に従い、伊豆修善寺での男児育てに時間を割いております。

単行本情報

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