日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『茄子とアルタイル』
『茄子とアルタイル』第2巻
大野ツトム 小学館 ¥552+税
(2015年10月30日発売)
16歳の男子高校生、光雄。今は、義母のみなとさんと2人暮らし。
この義母は、高校教諭だった父親が、母を亡くした後再婚した、学校の生徒。
今の年齢は31歳。童顔微乳、光雄より背は格段に小さく、高校生以下にしか見えない。
思春期になった光雄は、みなとさんが気になって仕方ない。
年齢的には15歳しか差がない。血もつながってない。かわいい。……気にするなというほうが無理な話で。
義母と2人暮らしというのは、なんとも間合いの取り方が難しい関係。
光雄は成長して、みなとをひとりの女性として気にするようになり、つい距離を置いてしまう。
一方みなとは、母親でありたいと願うから、どうやったらもっと光雄と親しくなれるかをいつも考えている。
光雄はかわいいものを見ると頬が痛くなる、という設定のおかげでギャグっぽく収まっているが、じつのところ2人の悩みは重い。
今は、みなとを見てドキドキする光雄、光雄に戯れる母としてのみなと、という幸せな構図で収まっている。
しかし光雄はずっと家にいるわけではない。学校で友だちを作り、成長し、少しずつ母親を離れていく。
水着になったり、制服を着たり、膝の上に座ったり。みなとは、おちゃめだ。
光雄は苦しんでいる。義母は本当にかわいい。自分がみなとにいだいている気持ちは「恋」だと気づいている。けれど、みなとが光雄に寄せているのは「母親」の思いであって、恋愛ではない。
第2巻が完結巻となるこの作品、最終回では2人が選んだ道が描かれる。
まあいろいろあるけどさ。2人とも今は、そこまで焦らなくてもいいんじゃない?
今はとりあえず、幸せな親子の時間過ごしているんだから。
タイトルの「茄子」と「アルタイル」。
茄子は、お盆に足を刺して使うもの。きゅうりが精霊馬で「迎え」、茄子が精霊牛の「送り」だ。
アルタイルは、ベガ、デネブと並ぶ夏の大三角形を形づくる星のひとつ。
3つとも同じ大きさの光に見えるけれど、デネブは超巨星で、ひとつだけずっとずっと遠くに離れている。
このタイトルが、はたしてだれとだれの距離を表しているのかは、読んだ人次第。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」