365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
12月14日は、米輸入部分開放を決定した日。本日読むべきマンガは……。
『あさひごはん』第1巻
小池田マヤ リイド社 ¥815+税
1993年の12月14日は、日本政府が米輸入の部分開放を決定した日である。
1993年は記録的な冷夏に見舞われ、米の収穫量が例年の7割程度に。
翌年明けから米不足は深刻なものとなり、一般の消費者が米を買うために長い行列を作る事態となった。
一部の小売店では国産米とタイ米のセットでなければ購入できない仕組みになっており、まだタイ米のおいしい調理法などを知らない素人は大いにとまどったもの。
「お米がなければパンを食べればいいじゃない」と思いつつ、やっぱり日本人はみんなお米が大好きなんだと実感したしだいであった。
『あさひごはん』は、独創的なレシピが満載のグルメコミック。
家族たちは朝早く出かけてしまい、いつもひとりぼっちで食卓に向かう主人公のあさひ君。
育ちざかりだけどさびしい気持ちじゃ食欲もわかない……そんな彼のもとに、かつて洋食店のシェフだったおじいさんの霊が現れて!?
第1話で登場するレシピは「みるくねこまんま」。夕べの残りのごはんとおみそ汁を温めてトマトに牛乳、塩こしょう、パセリを加えるだけで新鮮なメニューに様変わり。
ちょっとしたひと工夫で食卓も気持ちも豊かになるのだから料理って奥が深い。丼や海苔巻き、押し寿司といったご飯ものをはじめ、トーストやホットケーキ、シリアルなども……簡単でためしてみたくなるレシピがいっぱいだ。
いつまた米不足が訪れるかもわからないし、最近ではバターの不足が話題になっている。
とはいえ、これは“食料難”ではない。
“あるもの”でおいしい料理を作る知恵と臨機応変さがあれば、いつだって満ちたりていられるはずではないだろうか。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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