365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

12月17日は、星野リリィの誕生日。本日読むべきマンガは……。

『きぐるみ防衛隊』第1巻
星野リリィ 講談社 ￥590+税

12月17日は、漫画家・星野リリィの誕生日。

星野リリィと言えば、初期のBL作品をはじめ、現在連載中の和風ファンタジーバトル『おとめ妖怪ざくろ』の著者として、またアニメファンにとっては『輪るピングドラム』のキャラクター原案として知られる、言わずと知れた人気作家だ。

そんな星野リリィが（意外にも？）少女マンガ誌「なかよし」で連載中なのが『きぐるみ防衛隊』だ。
だがもし本作を、少女向け媒体の連載作だからと侮っている人がいたとすれば、謝罪の準備を整えたのちすぐにWEB上の試し読みページを訪れるべきだろう。

中学2年生のヒロイン・笹倉はっかのもとに突如現れた、ゆるキャラっぽい着ぐるみ型生物（人の入った着ぐるみサイズ）。
言葉を発することができず、構造不明のボード（フリップ）に浮かび上がる文字で会話する（たとえば風呂に入れば「ビバノンノ♪」と浮かびあがる）この謎の生物は、じつはガーディアンズとともに異世界の侵略組織「パペットギルド」からこの世界を防衛する、正義の着ぐるみだった……！

そしてこの着ぐるみは、ヒロインらガーディアンズのキスを鍵に、短時間だけもとのイケメン男性の姿に戻り戦うことができる（カップリングが固定されているという点では『おとめ妖怪ざくろ』を連想させるが、ガーディアンズのなかに男もいる点、なかなか奥深い）。

そんなバトルあり、ラブコメあり、耽美あり（生徒会長の服装などいつ生存戦略し出してもおかしくないもの）、BLありの、作家性が濃密に詰まった、まさに星野リリィの誕生日に読むにふさわしい（そして「なかよし」読者である少女たちの英才教育にもってこいな）1作と言える。
ポップでキュートな表紙も注目。

＜文・高瀬司＞
批評ZINE『Merca』（アニメルカ×マンガルカ×ジャズメルカ）主宰。アニメ／マンガ論を『ユリイカ』などに寄稿。インタビュー企画では「Drawing with Wacom」などを担当。
TwitterID：@ill_critique
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