日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『耳袋さんの知恵袋』
『耳袋さんの知恵袋』
めぷちん☆ 秋田書店 ¥562+税
(2015年11月20日発売)
普段おとなしい女の子が、性的な知識に長けているのって、最高だと思うんだよね。
耳袋さんは、いわゆる「まじめな文学少女」という扱いの女の子。
クラスでも「耳袋さんに下品な話しちゃ迷惑だろ!?」と言われる、神聖不可侵系少女。
しかし彼女、ありとあらゆる性知識に精通した、性マスター。
ただしシモな淫語は、ほぼ使わない。「おっぱい」は基本的に「乳房」と言う。
「『オキシトシン』と言って…オキシトシンは乳首への刺激やオーガズム時にも分泌されて…このホルモンと乳首と子宮を結ぶ神経が関係しあって…」
彼女は饒舌に、科学用語を使って性を解説していく。
「性知識の実践」がテーマなので、知識が現実になる快感描写が半端じゃない。
たとえば主人公と耳袋さんが、お互いの乳首を舐めあって快楽を体感するシーン。
耳袋さんは「男性の場合乳首は前立腺と神経が繋がっていて…前立腺の強烈な収縮が(略」とうんちくを語る。
少年は、彼女の難しい解説が、自分の体内で起きているのを体感し、驚く。
2人が乳繰りあっている背景には、無数の「舌と乳首が絡みあうカット」が並べられる。
純愛物語としてしっかり一巻で完結しているこのマンガ。
エロマンガではないので、性器描写はない。
そのぶん、感覚としての官能描写に並々ならぬ力が注がれている。
徹底して科学用語を用いながら、性を語りあう2人。
快感を得る器官が人体にあることに対し、感謝と敬意を払っているかのようだ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」