日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『銀のスプーン』
『銀のスプーン』第13巻
小沢真理 講談社 ¥562+税
(2015年12月11日発売)
冷・凍・卵!
作中に出てくる冷凍卵がうまそうすぎる。想像つきます? 冷凍の卵だぜ。
やられた~~~~! 超食べたい!
とかなんとか、腹を空かせながら読み進めるも、雲行きがあやしい『銀のスプーン最新巻。高校生男子が、入院する母のかわりに台所にたち、料理を通して人と繋がっていくハートフルグルメマンガも、気づけば13巻目。
シングルマザーである母親の恋人・てっちゃんと仲よくなったのに、大人の事情でもう会えなくなってしまい、ルカは悲しむ。
納得いかない。だけど幼すぎて、自分の思いをうまく言葉にできない。
だから、兄にわがままを言って作ってもらったリゾットも、おすそわけのさくらんぼも、食べない。食べられない。
気持ちの問題でものを食べられないとき、人は追い詰められている。ルカはまだ小2なのに、体いっぱいに膨らんだ気持ちをどうすることもできないで苦しむ。
そんな小さな体で……!! 伝説の朝ドラ『おしん』を見た時ばりに胸がきゅっとなります。
ルカの周囲は落ちこみモードながら、ほかの登場人物は、ふわっと頬がゆるんじゃう、おいしい『銀のスプーン』ワールドに、ちゃんといる。
喜怒哀楽の幅が激しい13巻のなかでも、にゃはは~と読めて、気持ちよくお腹空くのはズバリ、インスタントラーメンの話!
ルカの兄である律の友人に、ラーメンで春がくるぜ。
<文・片山幸子>
編集者。福岡県生まれ。マンガは、読むのも、記事を書くのも、とっても楽しいです。