『木造迷宮』第12巻
アサミ・マート 徳間書店 \670
(2014年6月13日発売)
静かな木造家屋、暮らしているのは三文小説家の旦那さんと、女中のヤイさん。
2人とも信じられないくらいにピュアなので、セクシャルな関係にいっさいならず、日々の小さなしあわせを見つけては分かち合い、ほほえんでいたのが前巻まで。
最新12巻は、最終巻。当然ここまできたら、旦那さんはヤイさんに自分の気持ちを打ち明けないと。
やっとこさ「一緒に暮らして下さい、ヤイさん。これからもずっと……」の台詞が。いやあ、ここまで長かった!
ここまで引っ張っても、まったく嫌味も歯がゆさもないのは、言葉にして感情を伝えるのが苦手な旦那さんとヤイさんが、ゆっくり気持ちを伝えようと、2人とも、焦らずに時間をかけて関係を育んできたからだ。
「木造の迷宮」とは、木で作られた温かみのある家屋のような、2人の心そのもの。
彼らのこれからの生活が容易に想像できてニヤニヤできる、ほっこりする幕引きであった。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」