日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『湯神くんには友達がいない』
『湯神くんには友達がいない』第8巻
佐倉準 小学館 ¥429+税
(2015年12月18日発売)
「週刊少年サンデー」といえばラブコメ(※諸説あります)。
「つながり」を過剰に重視する現代社会に対し、優秀なスペックと明晰なロジックでノーを唱え続ける孤高の「ぼっち」高校生・湯神裕二のクールな生き様を魅力的に描いてきたこの作品にも、そんな掲載誌の放つ重力が襲いかかる……!?
転校してきた直後、たまたま湯神くんと接触を持ち、そこから何かと彼と関わることになってしまっている流され系主人公・綿貫ちひろちゃん。
父親からたまの家族サービスとして、燦々亭平楽(湯神くんが心酔している人気落語家)の出演するイベントに2人で行こうと誘われた彼女は、湯神くんがそのイベントのチケット入手に失敗してひどく落ちこんでいる姿を見て、深く考えずに自分の分を譲ってあげる。
しかし、その行動をちひろちゃんの両親は大きく勘違い。
父親は自分の分のチケットをちひろちゃんに譲り、かくして、湯神くんとちひろちゃんの「デート」がセッティングされてしまうのだった……。
正直なところ、多少わがままだが賢くて決断力のある湯神くんと、優しくていい子だけど主体性がないちひろちゃんは、はたから見てるとけっこうお似合いのカップルだ。
このまま、うれし恥ずかしな雰囲気の青春展開に突入するのか?
「湯神くんには友だちがいないけど、恋人はいます」とか、そんなことになってしまうのか?
そんなことはあらゆる意味で許せんのじゃよー! ギャワー!!
湯神くんの「孤高」は守られるのか。コミュニケーションの問題に悩めるすべての人たちが、この戦い(?)の行方を、ぜひ目撃すべきである。
……あ、ちゃんと、この巻だけでオチはつきますんで。
あと、クリスマスのエピソードも載ってるよ。こっちはちひろちゃんの主体性のなさがひたすらに萌えです。
女の子が人間関係に困り果ててる姿がたまらない人は、ぜひぜひチェックを。
<文・後川永>
ライター。主な寄稿先に「月刊Newtype」(KADOKAWA)、「Febri」(一迅社)など。
Twitter:@atokawa_ei