日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『封神しない演義』
『封神しない演義』第1巻
サカノ景子 KADOKAWA ¥580+税
(2016年1月26日発売)
筆者が『封神演義』と聞いて、真っ先に思い浮かぶのは、かつて「週刊少年ジャンプ」に連載されていた藤崎竜のマンガ作品だ。現在は、集英社文庫版が順次発売されており、20年たった今もファンに愛され続けている。
しかし今日、新しい『封神演義』の世界観が誕生した。そう、それがこの『封神しない演義』だ。
『封神演義』が大好きな母を持つ女子高生・大和さきは、ある日突然異世界、すなわち『封神演義』の世界へ飛ばされる。
そこで出会ったのは、まったくやる気のない太公望(=姜子牙)。もとの世界に戻りたいさきは、とりあえず太公望と行動をともにする。しかし、殷王朝を滅ぼす存在である太公望の命を狙う者に人違いされ、さきが命を狙われるはめに……。
ここで、太公望がかっこよくさきを助けてくれる! ……のかと思いきや、そんなことはない。人並み外れた怪力を持つさきは、自分でなんとかできてしまう。どうやら彼女の前では、宝貝(仙人が持つ「パオペエ」と呼ばれる能力)の副作用も無効化されるらしい。
1巻の終わりで、太公望が「封神しない」理由が明らかになる。(ただやる気がないだけではなかったので、ご安心を。)
そしてそれを聞いたさきは、ある決意をするのだ。こうして太公望とさきの『封神しない演義』は幕を開ける。
太公望の弟弟子・申公豹にヤンデレ萌えしたり、哪吒にショタ萌えしたりと、キャラクターがみな美形で魅力的なので、キャラ萌えにも忙しい。女性の『封神演義』ファンにはぜひとも手に取ってほしい。
<文・穂高茉莉>
楽器店店員。『このマンガがすごい!2016』、「このマンガがすごい!WEB」のアンケートに参加中。最近少女マンガのレビューのお仕事もちょこちょこと始めました。