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『プラチナエンド』第1巻 大場つぐみ(作) 小畑健(画) 【日刊マンガガイド】

2016/03/05


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『プラチナエンド』


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『プラチナエンド』第1巻
大場つぐみ(作) 小畑健(画) 集英社 ¥450+税
(2016年2月4日発売)


主人公・明日(ミライ)は、開始早々ビルの屋上から飛び降りて自殺する。
陰鬱とした雰囲気から一転、彼を助けたのは、明るくニコニコしたキュートな天使・ナッセだった。

設定は少し複雑。
天使は選んだ人間に、2つのものを渡すことができる。 ひとつは、超高速で飛ぶことができる翼。「自由」。 もうひとつは、33日間自分のことを極度に好きにさせる赤の矢。「愛」。

ただし、ナッセのような特級天使だけは、人間にもうひとつの力(つまり、計3つ)を与えることができる。 それは、100パーセント百発百中、一瞬で相手を殺すことのできる、白い矢。

ようは、じゃんけん。
赤の矢で人の心を奪えば、相手を使ってなんでもできる。
うまくいかない時、白の矢で殺して終わらせることもできる。
回避するために、矢よりも速い天使の翼で逃げきることができる。
回避させないために、赤の矢で相手をこっそり刺す。

明日を含む、13人の神候補に天使がついている。力を与え、一番ふさわしい人を選ぶ、という『未来日記』方式で物語は進んでいく。
ただし、殺し合いはしなくてもいい。「参加しない」という選択肢を取ることもできる。

これだけすごい力を3つ手に入れても、明日は使おうとしない。
一度は捨てた命。手に入れたいのは「普通」だ。
だれかを殺すことも、意中の相手を惚れさせることもいっさいしない。

だからこの話はおもしろい。
彼がもっとも苦しんでいるのは、「学校に行く」「ご飯を食べて暮らす」「人と顔をあわせる」といった、高校生としての生き方のほうだ。

少年の求めていたシンプルだったはずの「自由」と「愛」は、ひょんなことから巨大な力になってしまった。
それでも彼は、自分のペースで「自由」と「愛」を探す。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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