日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『忘却のサチコ』
『忘却のサチコ』第5巻
阿部潤 小学館 ¥552+税
(2016年2月12日発売)
超まじめな編集者・サチコがいろんなものを食べまくるグルメコメディも、はや4巻に突入。
「失恋の痛手を忘れるため美食に走る」という当初の設定も、今やどこへ……といった感じで、もはや旅グルメものと化した感もあるが、それはそれで楽しいわけで。
本巻も福岡・高知・キャンプ編など、盛りだくさん!
長浜ラーメンを夢中で食べてる間に、逃亡癖のある姫村先生に案の定、逃げられたり、取材にかこつけサチコと高知デートをもくろむ美酒乱先生を前巻同様、放置したままひとりで市場の鰹の塩たたき、ぼうしパン、鍋焼きラーメンなど、高知の食取材をミッションクリアしたり。
担当作家に翻弄されつつも、生まじめに一期一会の食に突進してゆくサチコさんの姿に、思わず笑みがこぼれる。
仕事にも食にも、妥協なき(融通の効かない)貪欲さで突進してゆくサチコだからこそ、食べた時のカタルシスもまたハンパではない、忘我の域となるのだ。
次巻は従姉妹のあゆみの出産を祝うため、再び香川を訪れる「讃岐うどん編」。
久々に元婚約者を思い出すくだりもあるそうで、まだまだサチコの暴走(食)から、目が離せません。
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。『音楽マンガガイドブック』(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン『上村一夫 愛の世界』編集発行。
Twitter:@superpop69