日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『新・血潜り林檎と金魚鉢男』
『新・血潜り林檎と金魚鉢男』第1巻
阿部洋一 泰文堂 ¥600+税
(2016年3月12日発売)
頭が金魚鉢の“金魚鉢男”の斬新な異形っぷりが強烈!
それでいてあたたかみのあるペンタッチは、恐ろしくもどこか懐かしいような気分をもたらす。
本作は、全3巻の新装版が発売された『血潜り林檎と金魚鉢男』の続きのお話。冒頭にこれまでの経緯がコンパクトに紹介されているので、本作から読み始めても問題ナシだ。
雨上がりに、水場近くに姿を現す金魚鉢男は吸血鬼の一種。彼に血を吸われた人間は金魚になってしまうのだ。
そんな金魚鉢男に対抗できるのは、“血潜り”と呼ばれる者だけ。スク水をユニフォームとした彼女たちは血を吸われた直後の被害者の血のなかに飛びこみ、金魚毒を除去することができるのだ。
高校生の昊介(こうすけ)は、ひょんなことから“血潜り見習い”の林檎をサポートするようになる。
それというのも昊介が林檎の苦手な泳ぎが得意だったため。また、金魚にされてしまった妹を人間に戻す可能性を探るためでもあり……。
どうやら金魚鉢男の陰には、人の金魚化を推進しようとする組織があるらしい。
血潜りたちの間にもがぜん緊迫感が漂うが、そんななかで問題児の柘榴(ざくろ)が金魚鉢男をおびき寄せようとスタンドプレイを敢行。血潜り同士のどこか笑える追いかけっこも見ごたえ満点だ。
奇想あふれる物語世界にどっぷりつかりたい方にオススメ!
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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