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4月9日は左官の日 『十年後、街のどこかで偶然に』を読もう! 【きょうのマンガ】

2016/04/09


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

4月9日は左官の日。本日読むべきマンガは……。


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『十年後、街のどこかで偶然に』
津田雅美 白泉社 ¥429+税


まだまだ新年度の空気がくすぐったい、4月9日。
今日は、左官の日だ。

左官職人の登場するマンガ、あるのかしら? と思って探してみたら、あった、あった! 『彼氏彼女の事情』でおなじみ、津田雅美初の大人向けマンガ『十年後、街のどこかで偶然に』には、無口な左官職人が登場する。

「心を壁で塗り固めて自分を守ってきた俺が 壁を塗る仕事してるなんて皮肉だけど」――。

左官職人の槙(マキ)の仕事は、壁を塗ること。
マキは学生時代、主人公の菫に淡い思いを寄せていた。だけど苦しい生活で荒れた自分の手と、菫(すみれ)のきれいな手との違いは、そのまま胸の痛みになった。

一方で菫もまた、学生時代には自分と槙の手の違いに、にぶい痛みを感じていた。
菫は、槙が彫刻刀で模様を彫ってくれたペンを、ずっと大事にしている。だけど、自分の手では、槙のようにきれいなものをつくれない。そのことに痛みを感じながらも、惹かれていた。

そんな2人が、10年後、偶然に出会うところから物語は始まる。
高校中退以来、左官職人として壁を塗り続けてきた槙は、今はもう、自分の手を恥ずかしいとは思わない。
菫は今、筆記具メーカーに勤めて、きれいなペンをつくる仕事をしている。
10年越しの再会が、痛みの記憶と揺れる思いを呼び起こしていく。

コミックスの主軸となるのは槙と菫だが、同じ高校に通っていた同級生たちの10年後の再会も描かれている。
キラキラした学生時代を過ごしてこなかった大人たちのラブストーリーは、せつなくて、じんわりとあたたかい。



<文・片山幸子>
編集者。福岡県生まれ。マンガは、読むのも、記事を書くのも、とっても楽しいです。

単行本情報

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