日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ばくおん!!』
『ばくおん!!』第7巻
おりもとみまな 秋田書店 ¥552+税
(2016年3月18日発売)
アニメが始まったこの作品、実際にバイクが動いて音がつくと思わずニヤニヤしてしまいますね。
バイク部の青春を描いたコミックスでは、新入部員の中野千雨(なかの・ちさめ)もすっかりなじみ、バイク狂少女たちの熱量は上がるばかり。
次々に出てくるバイクは、非常に繊細に表現されている。
一見女子高生たちがワイワイとゆるふわライフを送っているかのような雰囲気だが、実際はかなり攻め気味な会話てんこ盛り。
スズキをけなしたり、シモネタが飛び交ったり、スズキをけなしたり、魔法少女になったり、スズキをけなしたり。
スズキ大好き鈴乃木凜は、この巻でもプリプリ怒っています。
バイクの種類で喧嘩する少女たちの様子は、愛があふれていて、たまらなくバカだ。
第7巻の夏休みのツーリングで、一行は九州に。
比較的バイク初心者のお嬢様の三ノ輪聖(みのわ・ひじり)は、普段おとなしいにもかかわらず、旅行中ものすごい勢いではっちゃける。走ること、新しい体験を心底楽しんでおり、表情がコロコロ変わる。
その一方で、レーサー経験者の中野千雨は無表情だ。達観したしゃべりが多く、ツーリングを楽しんでいるのかどうかわからないシーンが多い。
彼女は熊本で買った「ちくわサラダ」を、微妙な顔で食べていた。ところが彼女、あとにもこっそりひとりで買って食べている。表情は変わらない。
にこやかに笑う聖と、冷静な千雨。外から見るとだいぶ違うが、彼女らがツーリング先の景色を見てそれぞれ、何かしら「特別」を感じ取っているのは間違いない。
正直「快適な旅」とは言いがたい。作中では面倒くささやダサさや不便さも表現している。それでも乗って行ってしまうのは、バイクに乗るのが好きでしかたないからだ。
勢い余ってコースアウトしまくっているギャグを楽しんで本を閉じたあとも、女の子たちが乗り回すバイクがあまりにも楽しそうで、体がウズウズしてしまう。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」