日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『地底旅行』
『地底旅行』第1巻
ジュール・ヴェルヌ(作) 倉薗紀彦(画) KADOKAWA ¥680+税
(2016年3月25日発売)
19世紀のフランスで活躍した元祖SF作家ジュール・ヴェルヌ。
21世紀になっても、その世界観はしばしばアニメやゲームのモチーフとなり、いまだに愛され続けている。
冒険小説『地底旅行』は、そのジュール・ヴェルヌの代表作のひとつ。2008年には『センター・オブ・ジ・アース』というタイトルで映画化され、その後、東京ディズニーシーでアトラクション化もされた。
といっても、原作を読んだ人は意外と少ないかも。
本作は、『彗星★少年団』、『三島凛は信じない!』の倉薗紀彦による『地底旅行』のコミカライズ。小説よりも気軽に楽しめる。
1863年のハンブルグ。変人鉱物学者のリーデンブロック教授は、錬金術師によるルーン文字の暗号を見つける。
解読したリーデンブロックは、甥のアクセルとともに地球の中心に到達できるというアイスランドの火山へ向かった……。
小説では未知の地底の光景を一から想像しなくてはならないが、マンガならビジュアルがあるため、この世界に入りこむのも早い。
表情がころころ変わる少年アクセル、マッドさが滲み出ているリーデンブロックと登場人物たちのキャラもいい。
ジュール・ヴェルヌに興味があるなら、ここから入門するのもオススメだ。
<文・卯月鮎>
書評家・ゲームコラムニスト。週刊誌や専門誌で書評、ゲーム紹介記事を手掛ける。現在は「S-Fマガジン」(早川書房)でファンタジー時評、「かつくら」でライトノベル時評を連載中。
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