365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
4月27日は哲学の日。本日読むべきマンガは……。
『すみっこの空さん』第1巻
たなかのか マッグガーデン ¥571+税
時は紀元前399年。
著名な哲学者であるソクラテスが、毒殺刑によってその生涯を閉じたのが、本日4月27日である。
それを記念し、今日は「哲学の日」と呼ばれている。
ソクラテスは著述を行わず、遺されているのは、すべて弟子たちがそれを聞き書きしたものである。
つまり彼は対話の形を取り、弟子と語りあうなかで様々なことを考え、啓蒙し、導いていったということだ。
さて今日ご紹介するマンガにも哲学的対話は存在するが、ソクラテスの時代とは少々様相が異なる。
ソクラテスならぬ空さんと、カメのプラトンとの「てちゅがく」的対話。
それをほっこりとしたマンガで表現したのが『すみっこの空さん』なのだ。
都会での生活に挫折して故郷の田舎に戻ってきた、元・絵本作家の青年。
青年のペットはギリシャリクガメ、名前はプラトン。日々哲学的思考にふけるカメさんだ。
そして、青年とプラトンの前にひょっこりと現れたのが、お隣に住む小さな女の子・空さん。
「空です!」と名乗ったはずが、プラトンの耳には空さんではなく、ソクラテスと聞こえたのだ。
かくして、空さんとプラトンの師弟関係が結ばれたのであった――。
ここで描かれる哲学は、常に「てちゅがく」だ。
大上段に構えた学問ではなく、ごく身近な毎日の生活のなかに、空さんはいくつもの哲学的な見方を見出していく。
田舎のほのぼのとした風景のなかで語られていく「てちゅがく」はとてもシンプルで、だからこそ深く心に沁みわたる。
もしかしたら、小さな子の見方や考え方というのは、じつは一番哲学的なのかもしれない。
知識や常識に囚われずに、自分でがんばって答えを出す。
哲学の大元は、本来はそういう部分にあるのではないだろうか。
そしてきっと哲学は、人が幸せになるためのもの。この作品は、そんなあたたかさも教えてくれる。
今日は空さんといっしょに、あなたも「てちゅがく」してみませんか。
<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」