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今回紹介するのは、『武蔵くんと村山さんは付き合ってみた。』

『武蔵くんと村山さんは付き合ってみた。』第4巻
なるあすく 泰文堂 ￥600+税
（2016年4月12日発売）

おつきあいは心が大事……という理想はあるけど、やっぱり言葉がないとだめよ。
「好きです」って、ちゃんと口から聞きたいものなのよ。

村山さんは、本が好きで人とあまりしゃべらない、特に男子と話すのが極度に苦手なコミュ障少女。
武蔵くんは、優しすぎて優柔不断、気弱で内気で一歩踏み出せない虚弱少年。

当初ひねくれていた村山さんに「付き合えって言われたら付き合えるわけ？」とつめよられた時、「ぼく…でよければ……」と答えたことで、おつきあいがスタート。
なんせ「好きだから告白した」という流れを通過していないので、2人は次の日から手探り暗中模索。
いっしょにいる時間が長くなるほど、好きだという気持ちが高まり、今は相思相愛の仲。

第3巻までは2人のじれったい恋物語にニヤニヤだった。
手をつなぐまでに2カ月かかり、まだキスしていません。遅いよ！
もじもじした2人の赤面シーンの連続で、あまーい山盛りパフェ状態。それが見たかったんだよ、いいねいいね。

しかし2人の間には致命的な欠点があった。はっきりと言葉で「好き」だと伝えていないことだ。

第4巻では、幼い頃から村山さんのことを好きだった岸くんという少年が登場する。
明るく元気で、村山さんが武蔵くんとつきあっているのを聞いてショックを受けつつも、自分が村山さんを好きだということをはっきり述べ、身を引こうとする。

2人にできず彼にできるのが、すぐ行動を起こし、自分が傷つこうとも相手に思いを伝えること。
特に武蔵くんはこれが全然できない。家族との電話で村山さんをいまだに「友だち」と言ってしまっている。
岸くんに「お二人が付き合ったきっかけってなんだったんですか？」と聞かれて「なんとなくいきおい…かな？」と答えてしまう武蔵くん。
本当にそう思ってたの？　あんまりじゃないの。

露見した彼の不甲斐なさ。
村山さん、好青年である岸くんとつきあったほうがよいのではないか、とハラハラしてくる。
内気な少年と内気な少女の恋物語は、そろそろ「照れちゃってかわいいね」から一歩進まねばいけないようだ。

＜文・たまごまご＞
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」