日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『夢の雫、黄金の鳥籠』
『夢の雫、黄金の鳥籠』第8巻
篠原千絵 小学館 ¥429+税
(2016年4月8日発売)
時は16世紀初頭、人さらいにさらわれ奴隷のみとなったヒロイン・サーシャは、マテウスと名乗る男に買われ、彼の館で知識・教養を施される。そして彼女はヒュッレムと名を変え、オスマン帝国の若く美しき皇帝・スレイマンへと献上され、後宮(ハレム)の妾(ジャリエ)となった。
ハレムで女の権力抗争を戦い、生き抜きながら、皇帝の寵愛を受ける身となったヒュッレム。
しかし彼女は、じつはマテウスこと皇帝の側近・イブラヒムと相思相愛。
スレイマンの目を盗み、心身ともに契りを交わす。やがて彼女はお腹に子を宿し、その父が皇帝かイブラヒムかわからぬまま産むことに。
一方イブラヒムは、ヒュッレムを妻として迎えたいと、皇帝に下賜を賜るべく精一杯の働きを見せ、側近の最上位・大宰相(ヴェジラザム)まで上りつめるのだった。
そんななか、今巻ではスレイマンからイブラヒムに否応なしの命令が! それは、スレイマンの妹・ハディージェを妻にしろというものだった……。
身分違いの愛する人をもつハディージェ、そしてイブラヒムを深く愛するヒュッレム、そしてヒュッレムを欲しいと願うイブラヒム……。
華やかなりしオスマン・トルコ帝国の歴史大河のなかで、あまりにもせつない恋のトライアングルが大きく動き出す。
自分の愛し愛される人と結ばれることが、なぜこんなにも難しいのか……。
今恋をしている人にも、これから恋をする人にも、真剣に考えさせる壮大なる物語を、ご堪能あれ!
<文・藤咲茂(東京03製作)>
美酒佳肴、マンガ、ガンダム、日本国と陸海空自衛隊をこよなく愛し、なんとなくそれらをメシのタネにふらふらと生きる編集ライター。