人気漫画家のみなさんに“あの”マンガの製作秘話や、デビュー秘話などをインタビューする「このマンガがすごい!WEB」の大人気コーナー。
今回お話をうかがったのは、東村アキコ先生!
“タラ”&“レバ”をほじくりまくり、夜な夜な“マシ”を数えるアラサー女子たちの、悲痛な叫びをあますところなく描ききる『東京タラレバ娘』が、昨年に続いて「このマンガがすごい! 2016」のオンナ編で2位にランクインした!
著者の東村アキコ先生といえば、「このマンガがすごい! 2006・オンナ編」にて『きせかえユカちゃん』が8位に入賞して以降、『ママはテンパリスト』『海月姫』『かくかくしかじか』と、この10年、さまざまな作品をベスト10に送り込んできた常連ランカー。現在は『東京タラレバ娘』『海月姫』『美食探偵 明智五郎』『雪花の虎』を連載中だ。
てなわけで、あいかわらず多作にして多彩な作品をバリバリと世に送りだしている東村アキコ先生に、根掘り葉堀り、アレコレとお話を聞いてきちゃいました!
まずは、連載が3年目を迎え、さらに今月13日には最新第5巻が発売され、ますます絶好調の『東京タラレバ娘』の話題を中心にインタビューをスタート!
倫子たちは結婚できるのか? 作品のキーワード“東京五輪”までのエンディングが語られる!?
――「このマンガがすごい!2016」オンナ編では、『東京タラレバ娘』が2年連続2位の快挙でした。
東村 ありがとうございます。私、わかりやすく褒められるのが好きなんですよ。賞状とか家に飾るタイプの子どもだったので。だから「このマンガがすごい!」にランクインするのは、すごくうれしい。「ランクインしなくなったら終わりだな」ってくらいに思っています(笑)。
――『東京タラレバ娘』は連載3年目に突入しましたね。
東村 あっという間でしたね。最初の頃は、バリバリ働いているアラサー未婚の女子たちからの反応が、「なんてものを描いてくれるんですか!!!!」って感じだったんですよ。でも連載が1年くらい経った頃から「前向きに婚活始めました!」みたいになってきて、2年も経つと結婚した人も出てきました。
――そんな多くの女性からとても反響のある『東京タラレバ娘』は、2020年の“東京五輪”がキーワードですよね。東村先生といえば、古くは1992年のバルセロナ五輪でマラソンの森下広一選手にドハマリした経験の持ち主だと存じていますが、もともと“五輪”には思い入れが深いのでは?
東村 ヤワラちゃん(谷亮子)と同い年なので、それだけでもオリンピックを意識せざるをえない人生です。
――タラレバ3人娘も嘆いていますが、オリンピックを基準に年月を考えると恐ろしいですよね。
東村 10年近くいっしょにやっているアシスタントの女の子に「このあいだの五輪でさ~」って話をすると、それが2つ前に開催した大会の話だったりするんですよ。10年だったらひと昔なんだけど、4年だと最近のようで、けっこう昔で。不思議なスパンというか、一番イヤなところを突いてくるというか。ぼーっとしていても過ぎちゃうし、五輪が開催されるたびに「ハッ!」となる。『東京タラレバ娘』では、それを描きたかったんですよね。
――そういえば前回のロンドン五輪は、ドラマ化された『主に泣いてます』[注1]のオンエアに、もろ被りだったんですよね。
東村 女子レスリングの吉田沙保里さんが3連覇を達成したときの裏で、視聴率に影響が……(笑)。 あまりの数字に爆笑しちゃいました。まぁ、吉田さんが霊長類最強女子として偉業を達成したんだから仕方ないなと。
――『東京タラレバ娘』は、東京五輪まで続けるくらいの気概ですか?
東村 続けようと思っています。途中でメンバーを入れ替えてもいいですしね。
――……ちなみに倫子・香・小雪のタラレバ3人娘たちの物語は、エンディングまで決まっているのですか? ぜひお聞きしたいです。
東村 今はまったく決めていなくて、3人が結婚するのかすら、わかりませんね。私自身、結婚することが絶対の幸せだとは思っていないんですよ。1回、失敗していますしね。だから3人でウェディングドレスを着て「ウェ~イ」みたいなことにはならないんじゃないかな。三者三様になると思います。
- [注1]TVドラマ『主に泣いてます』 東村先生が手がけた作品(講談社モーニングで連載)。2012年7月から9月にフジテレビで放送。絶世の不幸美女である主人公を菜々緒が演じた。