悩める読者の声を聞き、東村先生が伝えたいメッセージ……
「まずは大衆酒場へ行け」
――読者からは、倫子たち3人に、どうなってほしいという声がくるんですか?
東村 それが、ファンレターはいっぱいくるんですけど、みんな悩み相談が多いんですよ。「コミックス読みましたけど、私の場合は~」みたいな。今のアラサーの考え方がわかるので、ありがたいんですけどね。そういう意見を聞いていて思うのは、一度ドンッ!と恋に落ちないと、今の女の子は結婚までいかないってことですね。
――妥協しないということですか?
東村 たとえ1年で破局したとしても、自分が映画の主人公になったような、うっとりするような恋愛を経験したいと思っている。それがないと妥協で結婚したとしても、退屈してつまんない人生になっちゃう。だから最近は「恋をしてほしい」という考え方に変わってきました。
――そういう恋愛をするのは、結婚以上に難しいのでは?
東村 物理的に出会いの場を増やすしかないですよね。年間10人としか出会わないより100人のほうが確率はでかい。だから個室居酒屋でバーニャ・カウダを食っているような女子会がムダだと言っているんです。だったら、隣にサラリーマンが座っている大衆酒場に行ったほうがいい。
――先生は常々、「女子会をやるのにカフェで高いご飯を食べたくない」とおっしゃっていますものね。
東村 カフェとか個室居酒屋で話していることは「いい男いないよね~」でしょ。それって別にLINEでやればいいじゃないですか。わざわざ集まって1皿1,000円もする料理を食べながらやらなくてもいい。せっかくの希少なプライベートの夜は、「もしかしたらステキな人が街にいるかも……」という気持ちで出かけたほうがいい。それなのに「女子会も楽しいんですよー!」ってみんな言う。「楽しいかもしんないけど、彼氏が欲しいんじゃないの?」ってことです。だから、あえて言っているんです。
――大衆酒場にこだわるのはなぜですか?
東村 チェーンの居酒屋は席が離れているんですけど、大衆酒場はコの字型のカウンターだったり、相席になるようなことが多かったり、ふれあいが多いんです。私が30歳くらいの時、大衆酒場に行って女子2人で飲んでいて、男性から声をかけられなかったことなんて一度もないですよ。横から「これ頼みすぎちゃったから食べない?」みたいな。そういう交流が100%あるんですよ。
「そこで理想の人を見つけろ!」と言ってるんじゃなくて、見知らぬ男性とのトークをスッとできるようになっておくのも大事じゃないですか。
――女子会も年に1回くらいならいいけど……って、とこでしょうか。
東村 同窓会とか誕生会とか、スペシャルな場なら全然いいけど、定例化してんじゃねーよ、と。
先回りして言っておくと、これからタラレバ娘は叩かれ期に入ります。「また女の子たちを怖がらせて!」みたいな。でも、意地悪で言っているわけではなくて、「老婆心ながら『結婚したいと言っているなら、こうしたら?』と提案しているのよ」って思ってもらえるとうれしいなーとは思います。
次回、『このマンガがすごい!2016』にランクインした『かくかくしかじか』や、現在好評連載中の『美食探偵 明智五郎』『雪花の虎』などについてもうかがったインタビューを公開予定!
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取材・構成:奈良崎コロスケ