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5月21日はチャールズ・リンドバーグ(飛行家)が、大西洋横断単独無着陸飛行に成功した日 『リンドバーグ』を読もう! 【きょうのマンガ】

2016/05/21


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

5月21日はリンドバーグが大西洋横断単独無着陸飛行に成功した日。本日読むべきマンガは……。


LINDBERGH_s01

『リンドバーグ』第1巻
アントンシク 小学館 ¥438+税


1927年5月21日、この日はアメリカの飛行家であるチャールズ・リンドバーグが、史上初の大西洋横断単独無着陸飛行に成功した日。

じつは無着陸での大西洋横断飛行そのものは、すでに1919年に達成(この時は複数のパイロットによるもの)されていたのだが、なにゆえにリンドバーグが世界的な英雄としてまつりあげられているのか? それは当時の機体性能での「単独飛行」が、あまりに過酷だったためである。
飛行に要した時間はおよそ33時間半。その間、ひとりでの飛行であるため一睡もすることもできなかったワケだが、まぁ、それだけなら「俺なんか48時間ぐらい寝てないよ!」ってデスマーチ進行中の人も、ひょっとしたら読者のなかにもいるかもしれませんよね?

しかし、本当に驚くのはむしろ機体の条件のほう。

彼が使った「スピリット・オブ・セントルイス号」はオーソドックスなプロペラ機をベースにしたカスタム機なのだが、当時はまだ無名だったリンドバーグが入手できた飛行機は決して性能的にベストというものではなかった。
スピリット・オブ・セントルイス号は厳しい条件のなかで長距離飛行のためにカスタマイズされた結果、非常に特異な構造の飛行機となった。なかでも特徴的なのは、燃料タンクの位置とサイズの都合により、「正面に窓がない」という構造であったことだろう。
当然、そんな無謀な改造によって機体バランスもかなりクセがあるものになったとのことだが、「そのほうが孤独な飛行中に緊張感が維持できる」とリンドバーグは受け入れ、さらに当時はまだ無線技術が不安定だったため、「だったら軽くするほうがいい」という判断で無線機まで省略。

これらのことからも、リンドバーグがどれほど狂っ……いや、チャレンジ精神あふれる人物だったのかは想像にかたくないだろう。

さて、本日紹介したいマンガは、そんな彼の名をタイトルに冠した冒険ファンタジー作品『リンドバーグ』。

物語の舞台となるのは、四方を絶壁の崖に囲まれた天空の王国・エルドゥラ。
この地理的な条件により支配を続ける王家は「飛翔罪」なる重罰をもうけて飛ぶことを禁じ、庶民が外の世界を知る機会を与えようとしなかった。
主人公のニットは、その飛翔罪で裁かれた父を持つ少年。反逆者の息子とののしられ、虐げられた日々を送る彼の心の支えとなるのは、「プラモ」と名づけた不思議な生物であった。

そんなある日、外の世界から“複葉機のような外観のドラゴン”が飛来し、不時着。
それに乗っていた「シャーク」と名乗る男との出会いによって、少年は飛ぶことの快感に目覚め、じつはドラゴンの幼体であったプラモとともに外界へと冒険に旅立つ。

なお、この作品で「リンドバーグ」というのは、その複葉機のようなドラゴンのこと。
タイトルだけでは世界観や設定が想像できないかもしれないが、命を懸けてでも、人生を懸けてでも自由に飛びたい──そんな想いが、ギュッと詰まったワンダフルな冒険譚である。
特にファンタジーやドラゴンが好きな人は、ぜひご一読のほどを。



<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。

単行本情報

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