日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい！WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー！

今回紹介するのは、『サングリアル ～王への羅針盤～』

『サングリアル ～王への羅針盤～』第1巻
寺山マル 田波有希（監修協力） 小学館 ￥552+税
（2016年4月12日発売）

余命わずかな王の後継者の座を争い、陰謀が渦巻く宮廷。
王のひとり娘・アンは、謎めいた美貌の占い師との出会いにより、玉座をめぐる戦いに参加する決意を固める。

暗殺を避けるため、王女として育てられてきたが、アンはれっきとした男、第一王子だったのだ。

権力の亡者たちがおのれの欲望を満たすため、あらゆる手段をもって争いあう宮廷という地獄に、「お姫様」として育てられた可憐で優しい少年が、みずからの意思で踏みこんでいく。

迷い、おびえ、自分の決断に後悔する……。
そんな等身大の少年が、次々に襲いかかる危険と困難を乗り越えるなかで、しだいに強さを身につけていく。

か弱く臆病でひ弱な男の娘は、いかにして、血を血で洗う宮廷闘争劇に勝利し、王冠を手にするのか……。
異色の覇道のゆくえに注目したい。

＜文・前島賢＞
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas