日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『原田ちあきの挙動不審日記』
『原田ちあきの挙動不審日記』
原田ちあき 祥伝社 ¥1000+税
(2016年5月7日発売)
「秒速で笑えるマンガ」のキャッチコピーを冠する、全話無料のオリジナルマンガ掲載サイト「つぶやきGANMA!」で話題となっていた本作。
大阪在住の漫画家でイラストレーター、美術家、キュレーターなどの顔を持つ著者の、初の商業作品となる。
「この漫画はイラストレーター原田ちあきの身に起きたことをそのまま描きなぐった日記漫画である」という冒頭の言葉の以上でも以下でもない日常が、オチもないまま綴られてゆくのだが、いかんせんその「身に起きたこと」がすごすぎて、破壊力満点。
元バイト先の人々の奇妙な言動、笑えないけど笑える家族エピソード、片想いの相手へのゆがみまくった恋心とナチュラルな奇行、ガチンコのオタクネタ、鬱屈した人生観、愛猫との日々…などなど、ドロドロしたネガティヴな垂れ流しが、4コマのほんわかしたテンポに収まることで、キャッチーな化学変化を起こしているのもスゴイ。
登場人物たちのコミュ障っぷりも、そのケがある人なら苦笑&安心せずにいられない。
巻末には著者の友人(コミュ障仲間?)である、キュウソネコカミのボーカル&ギター、ヤマサキセイヤとの対談を収録。
ご本人の「たんなる漫画家」に収まらない、エキセントリックなキャラクターがうかがえて楽しい。
マンガフリークならずとも、ピンと来たらぜひ。
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69