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『本日のバーガー』第2巻 花形怜(作) 才谷ウメタロウ(画) 【日刊マンガガイド】

2016/06/07


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『本日のバーガー』


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『本日のバーガー』第2巻
花形怜(作) 才谷ウメタロウ(画) 芳文社 ¥590+税
(2016年5月16日発売)


中学生の頃、友だちと遊びに行くとハンバーガーばかり食べていた。
そのせいか、「ハンバーガー=チープな食べ物」というイメージがいまだに強い。

しかし『本日のバーガー』はどうだ。

商社を退職し、ハンバーガー店の若き店主となった主人公・神宮寺はハンバーガーの魅力を多くの人に知ってもらおうと切磋琢磨する。

ドーナツでパティ(肉)をはさんだ、アメリカでポピュラーなハンバーガー“ルーサー・バーガー”、ギリシャでおなじみのザジキ(ヨーグルトソース)で味つけしたパティや野菜を、これまたギリシャではおなじみのピタパンではさんだ“グリーク・バーガー”、ザリガニの名産地、ニューオリンズで食べられているザリガニのハンバーガー“ポーボーイ”……。

神宮寺のつくるハンバーガーは、世界各地のあらゆる文化に寄り添い、つくり手の自由な発想を受け止めながら発展してきたものばかり。
日本ではジャンクでチープな印象を持たれがちだが、ハンバーガーは豊かな文化を体現する食べ物でもあるのだ。

作画を担当する才谷ウメタロウは、『ガズリング』や『ファイヤー・ガール』など、女の子が主人公の作品を数多く発表してきた。『本日のバーガー』でも、神宮寺のまわりに登場するかわいい女の子たちが作品に花を添えている。
また、ハンバーガーを鍵として徐々に人間模様が深まっていくストーリーの原作は、『隠密包丁~本日も憂いなし~』の花形怜が担当。第2巻の終盤では、登場人物たちの価値観を揺らがせ、気持ちをぶつけあわせる強烈なヒキをみせた。

ハンバーガーが教えてくれる、大人の遊び心と文化の力。
ぜひ『本日のバーガー』で堪能してほしい。



<文・片山幸子>
編集者。福岡県生まれ。マンガは、読むのも、記事を書くのも、とっても楽しいです。

単行本情報

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