日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『いぶり暮らし』
『いぶり暮らし』第4巻
大島千春 徳間書店 ¥580+税
(2016年5月20日発売)
同棲中のカップル、頼子と巡が週に一度の休みが重なる日曜日に、2人でおいしい燻製をつくって楽しむ様子を描いた人気コミック。
第4巻で登場するのは、ひき肉を燻した燻製肉まん、魚介を燻した燻製ピザに海鮮丼、燻製チーズケーキ、そして燻製バターやカレー粉といった調味料まで……。
こんな燻製もあるんだ! と目からウロコのメニューがずらり。どんな味がするのか気になって、読後には燻製器をネット検索してしまうこと必至!
そんな燻製指南書的側面で語られがちな本作だが、燻製ライフを楽しむ頼子と巡のやりとりも、燻製料理に負けない魅力だ。
料理の味の感想はもとより、燻製を待っている間のなんの意味も脈絡もない雑談(実家でよく使った調味料の話とか、中学時代のお弁当のエピソードとか)が、なんともリアルで心地よく、こんなパートナーがいたらいいなあ…と憧れずにいられない!?
燻製同様、ゆっくりと時間をかけて関係を育んできた2人だけに、そろそろ進展や変化があってもよさそうだが、読者としてはまだまだもう少しだけ、このマッタリした時間を味わっていたいのです。
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69