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『ふしぎの国のバード』 第2巻 佐々大河 【日刊マンガガイド】

2016/06/07


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ふしぎの国のバード』


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『ふしぎの国のバード』第2巻
佐々大河 KADOKAWA ¥620+税
(2016年5月14日発売)


明治初頭の日本、英国の冒険家イザベラ・バードが蝦夷を目指し通訳の伊藤鶴吉(イト)とともに旅をする『ふしぎの国のバード』。
『日本奥地紀行』をもとに描かれたものであり、イザベラ・バードは実在した人物である。

第2巻では、2人はさらに歩みを進め、新潟を目指す。
問題は新潟までの道のりだ。バードは新潟につながる奥州街道、三国街道を進む案を「すでに踏破した西洋人がいるから」という理由でつっぱね、日本人にすらなじみのない会津道を使うという。
旅人が通行するのは困難といわれるこの会津道で、バードとイトはどんな“ふしぎ”と出会うのだろうか。

異文化に戸惑いながらも積極的に見聞きし、はしゃいだり楽しんだりする様子を見せているバード。しかし「風呂文化を見ずしてこの国は語れない」と胸を躍らせながら目にした混浴はこれまでとは種類の異なる衝撃だった。
口をついた言葉をイトに指摘され、内にある日本文化を拒絶する心に気づかされることに。
どんなにフラットな目線を意識していても、どこかに自文化中心の目線があったのだ。
淑女として厳しい教育を受けてきた彼女が、老若男女問わず人々が憩う共同浴場に入ることは、それまで自分が当然だとしてきたもの、自分のなかにある根幹を揺るがすこと。
外国からやってきたいち旅行者としては、これを見るに留める道もあれば、自ら体験してみるという道もある。彼女の判断はどうだろうか。
そして、さらなる未知の日本へ踏み入る2人。そこにはイトも驚き戸惑う陰惨な日本の姿があった。

バードとイトが、冒険者とただの付き人の関係から運命をともにするバディとなりつつある第2巻。2人の絆にも心動かされる。



<文・川俣綾加>
フリーライター、福岡出身。
デザイン・マンガ・アニメ関連の紙媒体・ウェブや、「マンガナイト」などで活動中。
著書に『ビジュアルとキャッチで魅せるPOPの見本帳』、写真集『小雪の怒ってなどいない!!』(岡田モフリシャス名義)。
ブログ「自分です。」

単行本情報

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