『最後のレストラン』第5巻
藤栄道彦 新潮社 \552+税
(2014年7月9日発売)
単なる偉人伝では堅苦しくて読む気がしない、なんて人も多いだろう。そこで「食」というテーマの登場である。
マリー・アントワネット、カエサル、坂本龍馬……。“彼らの最期の晩餐にふさわしいメニューとは?”。
そんなIFの視点が、偉人たちをグッと身近にしてくれる。これはアイデアの勝利だろう。
最新5巻では、ロシアの怪僧ラスプーチン、悲劇の女王メアリー・スチュアート、伝説のタイの国王ナレースワンらが、レストラン「ヘブンズドア」を訪れる。
巻を重ねるごとに、ちょっと頼りないオーナーシェフ・園場凌の周囲に集まる人々も増え、以前よりもにぎやかになった。
本巻は、スキピオとハンニバルに出されたあの料理が、一番おいしそうだった。
味が伝わるマンガが開発されればいいのに。
<文・卯月鮎>
書評家・ゲームコラムニスト。週刊誌や専門誌で書評、ゲーム紹介記事を手掛ける。現在は「S-Fマガジン」(早川書房)でライトノベル評(ファンタジー)を連載中。
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