『つらみ相互感系』大岩ケンジ
大岩ケンジ 秋田書店 \600+税
(2014年7月8日発売)
曄(あきら)はSNSで活動をする引きこもり女子高生。ハンドルネームは「つらみ姫」。熱狂的なファンを持つネット声優だ。
現実に、声サイトへの登録での人気アマチュア声優や、ニコニコからデビューした歌手はとても多い。そんな実際のネタを盛り込みながら、曄が己の承認欲求を満たしつつ、人前に出られるまでの様子が描かれる。
ネットで有名になった。次のステージに立つには外に出なけらばならない。だけど対人恐怖症だから出られない。 ずるずる不登校を続ける彼女。ネットもリアルも成功している同じ学校の新人アイドル少女チャコ助など、SNSで出会った人にリアルで会うことで、彼女はようやく一歩ずつ世界を外に広げていく。
SNSの出会いは引きこもりを加速させるように思えるかもしれない。しかし相手はやはり人なのだ。いずれ会う機会もあるだろう。ネット上で喧嘩をすることもあるかもしれない。時間はかかるだろう。でも、ネガティブな自分を変えるきっかけになることだって、人と接すればあるはずだ。 有名になればネットで炎上もある。傷もつくけれど、それも人とのコミュニケーション経験。
ああ、人生は“つらたん”だ。だからこそ、成長できるのだ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」