日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『HUNTER×HUNTER』
『HUNTER×HUNTER』第33巻
冨樫義博 集英社 ¥400+税
(2016年6月3日発売)
6月3日、待望の『HUNTER×HUNTER』第33巻が発売された。第32巻の発売は2012年12月28日。
なんと2013年、2014年、2015年はリリース皆無。約3年半ぶりとなる最新巻である(劇場限定0巻「クラピカ追憶編」は除く)。
てなわけで、ざっくりと前巻のおさらい。
ナニカの力で瀕死の状態から復活を遂げたゴンは、ついに父親のジンと再会を果たした。
世界樹のてっぺんで、ジンはゴンに“世界地図の外側”について語る。ゴンが戦ってきたキメラ=アントは、世界地図の外側=暗黒大陸から来た外来種だったのだ。
かつて人類は暗黒大陸への進出を何度も試みてきた。だが、そのたびに大きな厄災がふりかかったため、200年前に不可侵条約が近代5大陸=V5によって締結。
それ以降、人類最大の禁忌としてアンタッチャブルな存在になっていたのだ。
しかし、突如「カキン王国」のホイコーロ国王が暗黒大陸への進出を宣言。
しかも探検隊のリーダーには亡くなったネテロ会長の息子・ビヨンドを任命したものだから、さぁたいへん! この第33巻では、暗黒大陸をめぐるエピソードが本格始動する。
V5はビヨンドのハントを“十二支ん”(ハンター協会の最高幹部)に依頼。
それとは別に十二支んはネテロの遺言により「ビヨンドよりも早く暗黒大陸探検を成功させること」がミッションとして課せられた。
カキン国の思惑とハンターたちの新大陸に対する想いが入り乱れるなか、十二支んはレオリオとクラピカをメンバーに引き入れる。一方、十二支んを抜けたパリストンとジンはビヨンド陣営に!?
てなわけで、暗黒大陸の得体の知れない連中とバトルするのは、まだまだ先のお話。
全編にわたって政治的駆け引きの“すったもんだ”や、暗黒大陸に関するミステリーの端緒が、5段組み中心の濃密なコマ割り&膨大なセリフ量で提示される。
新キャラもわんさか登場し、パラパラと通読した程度では、すべてを理解するのは不可能。
2度、3度と読み返しながら、状況と人間関係を整理しなければならない。
「マンガの楽しみ方としてそれが正しいのか?」と問われれば答えに窮するが、こと『HUNTER×HUNTER』に関しては絶対的に正義!
3年半ぶりの新刊をスルメのようにしゃぶり尽くすまで楽しめると思えば、「400円+税」は最強のコストパフォーマンスだ。
ただ……、できることなら第34巻は、もう少し短いスパンで出していただけると幸いです。
<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。今秋公開予定の内村光良監督『金メダル男』の劇場用プログラムに参加しております。