365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
4月22日は史上初の大規模毒ガス攻撃が行われた日。本日読むべきマンガは……。
『HUNTER×HUNTER』第24巻
冨樫義博 集英社 ¥390+税
本日4月22日は、第一次世界大戦のイーペルの戦いで、史上初の大規模毒ガス攻撃が行われた日だ。
1915年、ベルギーの都市であるイーペルをめぐる「第二次イーペルの戦い」で連合国軍と熾烈な攻防を繰り広げていたドイツ軍は、大規模な毒ガス攻撃で連合国軍を圧倒し、勝利をおさめた。
この戦いを嚆矢として、第一次世界大戦で登場した毒ガスは従来とは比較にならない損害を敵に与える兵器ということでその名を轟かせ、機関銃とともに戦争のあり方を変える存在として人々の記憶に刻まれることとなる。
マンガの世界でも、毒ガスや毒攻撃は今まで数多くの場面で猛威を振るってきた。
そんななかから、今回は一風変わった毒ガスの登場する『HUNTER×HUNTER』第24巻で描かれた、キメラアントの1体・レオルとハンターであるモラウの戦いを紹介したい。
モラウの友人であるグラチャンの能力「TUBE(イナムラ)」を奪い、戦いに使用するレオル。
戦いの場である巨大な部屋を水で埋めつくし、波をコントロールした攻撃でモラウを追い詰めるレオルだったが、モラウは煙を操作する自身の能力「紫煙拳(ディープパープル)」を駆使して反撃に出る。
最終的にこの勝負を制したのは、持ち前の肺活量で部屋中の酸素を吸い、大気中の濃度が上がれば毒へと変貌する二酸化炭素を充満させたモラウであった。
ほかの生物の特性を取りこんでいく性質を持つことから生まれる強さのバリエーション、すさまじい生命力と強固な肉体、すさまじい成長スピードを持つキメラアントは、生身の戦いでは到底人間に勝ち目はない。
だからこそ、応用次第で自分を数段うわまわる敵でも打倒できる、「念能力」の魅力が従来の人間同士の戦い以上に際立つのがキメラアント編の見どころのひとつだ。
キメラアント編冒頭で、序盤のハンター試験編に登場していたポックルとポンズが再登場して早々に死亡してしまったことから、現在「週刊少年ジャンプ」本誌にて進行中の暗黒大陸編での過去キャラ再登場に不安を感じる読者も多いはず。
しかし、今回の本誌における連載再開のしょっぱなで登場したキャラたちは、基本的にキメラアント編で死んだ2人以上に修羅場をくぐり抜けているであろう人物ばかり。過酷であることが予想される暗黒大陸での道程での活躍に、ぜひとも期待したいところである。
<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
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