日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『月影ベイベ』
『月影ベイベ』 第7巻
小玉ユキ 小学館 ¥429+税
(2016年6月10日発売)
『このマンガがすごい!2014』オンナ編第3位にランクイン、伝統行事「おわら」を踊りつぐ町を舞台にした物語も、はや7巻。
蛍子が自分の叔父・円を好きなことをいやというほど知っていながらも、ついに蛍子に告白した光。
かけがえのない友だちになりつつあった光に急に想いを打ち明けられ、とまどう蛍子。
いよいよ物語が大きく動き出した。
蛍子の、円への気持ちは揺るぎないものの、やっぱり告白されれば平静でいられるわけがない。
「おわら」の優れた踊り手として期待されている2人は、ただでさえ“接近”する機会が多いのだ。
光を意識するぶん、あらためて円への気持ちに向きあう蛍子のとった行動は……。
蛍子に気まずい思いをさせないようつとめて普通にふるまう光のさわやかな男らしさもいっそう輝いて見えるし、円おじさんの大人の余裕がかもし出す色気も捨てがたい。
光派、円派——読者はまっぷたつ!? いや、2人ともそれぞれに紳士的でやさしい男すぎるから悩ましい。
円の想い人であった蛍子の母を含めた「4人」の物語がどこに帰着するのか、今しばらく見つめていたい。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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