『いきいきごんぼZ』第5巻
陸井栄史 秋田書店 \419+税
(2014年7月8日発売)
今回もくだらないです(※褒め言葉だと思っていただきたい)。
……と、それでレビューを終わりにしたいぐらいなのだが、未読の方のために説明しておくと、本作は基本的には男子中学生のくだらない部分をやや誇張して描く日常系マンガ。
といっても、いわゆる「日常系」と呼ばれるほのぼのした空気は皆無(なんせ、萌える女子などひとりも出てこないし)。
そのかわり、「時速80キロの風はおっぱいと同じ感触」という古来よりの伝承を実際に試す無謀な挑戦や、陰毛からクローン人間が作れるという幼稚にもほどがある妄想から、おかんと買物に出たときにかぎってクラスの女子と遭遇してめっちゃ気まずいという「あるあるネタ」まで、言ってしまえば「くだらない中学生男子の日々」がひたすら綴られていくのである。
たとえばこの5巻にある「童貞サミット 本日の議題『最強』」という1フレーズだけで、わかる人には完璧にわかると思うのだが、リアルな中学生ライフの切り取り方がじつにすばらしい。
ちょいちょい挟まれるマンガパロディやら一発芸も、すさまじい「どうでもいい放課後感」に満ちている。
そして何より、作品そのものにオシャレ感が1ミリもないのが最高!
普通はオススメの作品を語るにあたって、「高尚ポイント」のようなものを挙げるものかもしれないが、本作に関しては「本当にくだらなくて、信じられないぐらい下品」ということをあえて強調しておきたい。
このくだらなさ(時に自分の中にもある痛い部分をえぐられることもあるが)は、読んでいて不思議と幸せである。
作品中にもあるが、「お前ら何だかんだ全員楽しそう!!」の一言につきるのかもしれない。
<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。