365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
7月13日はイーサン・ハントの日。本日読むべきマンガは……。
『オメガ7 自衛隊特殊部隊』第1巻
小林源文 ソフトバンククリエイティブ ¥1,200+税
1996年の7月13日、トム・クルーズ演じる諜報員、イーサン・ハントが主役の人気シリーズ第1作『ミッション:インポッシブル』が公開された。
それを記念し、シリーズ最新作である『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』が公開した2015年に、7月13日はシリーズの「イーサン・ハントの日」として制定されている。
『ミッション:インポッシブル』シリーズといえば、4作目『ゴースト・プロトコル』作中でのビルクライミングなどといった、演じるトム・クルーズがノースタントで挑むアクションが見どころのひとつ。
観ている側が思わず引いてしまうほどの華々しい活躍は回を重ねるごとにエスカレートしており、無茶度合いでイーサン・ハントにかなう諜報員は、地球広しといえど、なかなかいない……。
ということで、今回は小林源文の『オメガ7』より、華々しいには華々しいが、あまりにも泥臭い諜報員の佐藤大輔&中村正徳コンビを紹介したい。
日本の国益を守るため、重要人物の殺害やテロへの報復行動といった汚れ仕事を専門に請け負う非正規特殊部隊「オメガ7」。佐藤と中村は、オメガ7を支援する自衛隊調査部の所属だ。
佐藤もその部下である中村も、オメガ7の円滑な任務遂行のために活動するという職務には忠実。しかし、やることなすことすべてがエゲつないのだ。
第1巻で描かれる、主人公・小松をオメガ7にスカウトするために彼を多重債務者になるよう仕組むエピソードなどなど、作中、佐藤は中村をこき使いながら、幾度となく人非人ぶりを発揮していく。
また、かけひきの過程で敵から礼金を受け取り、私腹を肥やしたりなんて完全アウトなことも平然と行ったり(基本的に中村は恩恵にあずかれない)と、その腹黒さにスポットが当たるエピソードは枚挙にいとまがない。
前線で危険な任務を行うオメガ7の活躍ももちろん要注目だが、要所要所で裏の主人公ともいえる活躍を見せる情報部が、ダーティな戦争を描いたこの作品を、グッと魅力的にしているのだ。
ちなみにこの佐藤と中村、小林源文の作品に多く登場する名コンビとしてファンにはおなじみの存在。
頭が切れる悪党である佐藤が、トロい中村に対して理不尽な虐待をくわえ、中村が「チクショウ!いつか殺してやる!!」と悪態をつく一連の流れは、もはや様式美ともいえる。
興味を持った方は、この機会に『オメガ7』だけでなく『レイド・オン・トーキョー』や『東亜総統特務隊―ヤパニッシュ・フライビリング・デア・ヴァッフェンSS』などで、凄惨な戦場において黒い笑いを読者に提供してくれる中村・佐藤コンビを堪能していただきたい。
<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
Twitter:@gakuton