365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
7月14日は『マリオブラザーズ』アーケード版が稼動開始した日。本日読むべきマンガは……。
『スーパーマリオくん』第51巻
沢田ユキオ 小学館 ¥429+税
偉大なものの成り立ちを紹介する時、「伝説はここから始まった」というフレーズがしばしば使われる。
ただ、「ここ」というに値するポイントはわりと複数あるものだ。
たとえば、任天堂を支える超ヒットタイトル『マリオ』シリーズも、またしかり。
世界でいちばん有名な配管工・マリオの伝説はどこから始まったか。
1985年の『スーパーマリオブラザーズ』ファミコン版はもちろん本家本元だが、関連作として1981年の『ドンキーコング』(アーケード版)まで幅をとる見方もあろう。
そして今から33年前、1983年のきょう7月14日。
この日も、そんなマリオ史の節目のひとつだ。
『スーパーマリオブラザーズ』直接の前身、『マリオブラザーズ』のアーケード版が稼動開始した日なのである。
マリオの名前を含む初の作品で、また弟ルイージのデビュー作であり、土管に挟まれた下水道を舞台にカメやハエを転ばし、蹴飛ばし、退治するアクションゲームという趣向。
アーケードから2カ月後にはファミコンへほぼそのまま移植され、やがてくる「スーパー」時代の地平を拓いた存在……。
と考えれば、これもりっぱな「伝説はここから始まった」になるだろう。
さて、そんな「マリオ」関連のコミカライズで最も長寿、もっとも有名なマンガが『スーパーマリオくん』だ。
1990年に「月刊コロコロコミック」で連載開始してから、去年でなんと25周年! 単行本にして50巻達成!
もはや本作自体もレジェンドの域に達した作品になっている。
マリオ、ルイージ、ピーチ姫、クッパなどおなじみのキャラクターがボケとツッコミの応酬をくりひろげ、メタ発言もまじえてドタバタする……。
著者・沢田ユキオ氏はあるインタビューで、そんな本作の作風を吉本新喜劇になぞらえて説明している。
大阪で26年ほど暮らしたというから、吉本の笑いのノリは身にしみこんでいることだろう。
「マリオキャラたちによる吉本新喜劇ふうコント」という角度で改めて本作にふれてみると、なるほど! という納得感がわいてくる。
『スーパーマリオくん』という伝説が始まったのは、沢田先生が大阪で吉本の笑いに接したその時からだったといえるかもしれない。
<文・宮本直毅>
ライター。アニメや漫画、あと成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム30年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論』(総合科学出版)。『プリキュア』はSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7