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『TOKYO TRIBE WARU』 第1巻 井上三太 【日刊マンガガイド】

2016/07/16


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『TOKYO TRIBE WARU』


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『TOKYO TRIBE WARU』 第1巻
井上三太 秋田書店 ¥593+税
(2016年6月20日発売)


園子温監督による映画版で脚光を集めた、井上三太『TOKYO TRIBE』シリーズの新章がスタート!

今回キーとなるのは、シヴヤを牛耳るヨースケ山率いるトライブ「シヴヤWARU」vs 短鬼と尊鬼の武闘派コンビ「鬼兄弟」の抗争。現実の渋谷をトレースした架空都市シヴヤのシュールな町並み、そこに集う人々のリアルな描写はあいかわらずの猥雑な魅力にあふれ、かつて「映画的」と評された、著者ならではのスピード感あふれる暴力&アクション描写は、もはや「ゲーム的」とすらいいたくなる、ハイパーな域に達しつつある。

そんな「進化」ゆえに、『TOKYO TRIBE』や 『TOKYO TRIBE 2』以降は読んでない…という筆者のような読者は、ちょっとついてけないかも……? と思いきや、なんと第1巻終盤では、海、ハシーム、書記長など、前作からSARUオリジナルメンバーが登場。
申し訳ないけど、やっぱコレコレ!と膝を打たずにいられません。(なかでも海の近況報告には思わずニヤリ。)

現在は家族もできて、すっかり落ちついた生活を送っている元不良の中年男(SARU)たちが、仲間を守るため再びシヴヤに集結する――といった展開は、マフィア~任侠ものの定石だけにワクワクせずにいられない。

「なぁにぃ~?! チカチーロだって昔は暴れてたじゃんよォーッ」「いやあ 俺らの世代よりハンパなくなってきて…」てな会話もグッとしみて。
これは井上三太から長らく音信不通になっていた、かつての仲間(読者)に対する招集といっても過言じゃない!
リタイアを決めこんでいたアナタ、必読です。



<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69

単行本情報

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