『まりんこゆみ』第3巻
アナステーシア・モレノ(企) 野上武志(著) 講談社 \960+税
(2014年7月10日発売)
映画『フルメタル・ジャケット』で、ハートマン軍曹が罵声を浴びせながら非人道的に兵士を訓練するシーンは、いつ見ても強烈だ。
「地球上で最下等の生命体だ。貴様らは人間ではない!」
「サーイエッサー!!」
はたしてあのシーンは本当なのか? というのを、元海兵隊員・軍事通訳者の原案で描かれたのがこの作品。あくまでもこの作品に描かれている表現は作者らの個人的見解であり、米国政府や海兵隊の方針を描いたものではない……と一応、先に断ったうえで。「ハートマン軍曹とほほえみデブのやりとりは本当だったんだ!」と驚かされる。
女子高生の南雲弓は「アメリゴ大統領になりたい」という無茶な夢を叶えるため、海兵隊に入団。1・2巻では地獄の新人研修、そして3ヵ月のブートキャンプの様子が描かれる。
人間扱いされず、罵声を浴びせられる日々。限界を超えて走らされ、トイレにいくのもままならず、生活はすべて管理される。女性ならではの食事制限など、たいへんキツイ。
最新3巻では訓練を終え、海兵隊員としてオキナワベースにやってくるユミ。
下っ端から伍長に昇進。おめでとう!……と言いたいところだが、今度は部下を上達させなければならないという重圧がのしかかる。辛い!
こういう職業の世界がある、というのを知る意味で、ぜひ読んでみてほしい。
にしてもキャラクターがかわいくてよかった……(巻末の鬼教官の写真を見ながら)。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」