日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ヒメの惰飯』
『ヒメの惰飯』 第1巻
二階堂 幸 KADOKAWA ¥580+税
(2016年6月30日発売)
「女のひとりグルメ」だったり「女のひとり酒」だったり、大人の女のリアルな生活事情×ごはんという組みあわせは、すっかりグルメマンガの定番となった感があるが、本作のヒロイン(?)となる姫川基子(ひめかわ・もとこ)27歳は、元・オタサーの姫で、現・OL。
昼のランチは吉野家の牛丼、家に帰っての夜食はサッポロ一番みそラーメン(鍋から直!)と、あまりに自然体。
そんな彼女の「惰」生活が、(職場で、意識高い系後輩女子や有能後輩女子にいじめられたりする模様も含めて)描かれる。
正直、男の筆者の目から見ても、もう少し気をつけたほうが……という感じのジャンクレシピばかりなのだが、それがかえってリアルだし、なにより簡単にまねできてしまうので、夜中に読むと「飯テロ」感がかなり強い……。
最後には、新たに入社した後輩女子の意外な側面も明らかになって、今後は「元・オタサーの姫」という顔をはじめ、二十代後半のリアルなオタク女子の物語にも焦点があたりそうで、今後も楽しみである。
<文・前島賢>
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas