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『ふだつきのキョーコちゃん』 第7巻 山本崇一朗 【日刊マンガガイド】

2016/08/06


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ふだつきのキョーコちゃん』


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『ふだつきのキョーコちゃん』 第7巻
山本崇一朗 小学館 ¥552+税
(2016年7月12日発売)


キョーコの頭に巻いているリボンは、暴走しないためのお札。
いわゆるキョンシー。リボンがほどけると、人に襲いかかってしまう。
ちょっとしたトラブルでリボンはたびたびほどけてしまい、大ピンチの繰り返し。
そんな彼女を放っておけず、お兄ちゃん、キョーコにつきっきりです。

キョーコを守るための威嚇行動として、ちょっと不良っぽい外見にしてしまうほどの、どシスコン兄のケンジがいじらしい、兄妹コメディの最終巻。 この巻は、そこそこ幸せな共存関係にあったキョーコとケンジが、それぞれほんのちょっとだけ自立していく様子が描かれる。
ケンジは片思いだと思っていた日々野さんと急接近、ついに恋人同士になる。
日常の大半を、キョーコを守ることに費やしていた彼が、だ。

ふだんリボンをしているときは、シスコンの兄を恥じてはねっかえりな思春期丸出しになるキョーコ。
しかしリボンがほどけると、本音がボロボロ出てしまう習性がある。
目下彼女の悩みは、兄に恋人ができたのに、彼が自分のことを気にかけ続けていることだ。
だから、できるだけ兄の親切を跳ね返し、リボンのことも、勉強や日常生活全般も、全部ひとりでやると決意する。リボンをしている時は、あたかも兄を嫌っているかのようにふるまう。

もちろんそんなわけはなく、リボンが解けた時に本音が出る。
お兄ちゃん恋人ができてよかったね。
お兄ちゃんに心配かけたりジャマしたりしたくなかったんだ。

純真な思いと、普段のツンケンした態度のギャップがこのマンガの魅力だ。
いうなればリボンという記号で切りかわる、わかりやすいツンデレ。
どんなに邪険な態度を取ろうとも、ケンジはキョーコの本音を全部知っている。
だから彼は、第1巻でもいったこのセリフを繰り返す。
「オレ達兄妹なんだからさ。」

第1巻の時点から2人は大きく成長した。
それぞれ「人のため」だけではなく「自分のため」に動き始めた。
それでもなお、お互いのことを気にかけるのは、兄妹だから。気にするのは重荷ではない。
だからケンジには、敬意をこめていいたい。

シスコンだねと。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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