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『死人の声をきくがよい』 第8巻 ひよどり祥子 【日刊マンガガイド】

2016/08/15


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『死人の声をきくがよい』


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『死人の声をきくがよい』第8巻
ひよどり祥子 秋田書店 ¥562+税
(2016年7月20日発売)


『死人の声をきくがよい』の新刊が7月下旬に発売された。
先だって宝島社から出たアンソロジー『このマンガがすごい!comics この「ホラー」マンガが怖い!』に本作の第1話が収録されていることからおわかりのように、今や近年のホラーマンガ界の顔ともいえる作品になってきている。

霊が見える体質で難儀してきた高校生男子・岸田純が、彼のそばに憑いている黒髪ロング美少女セーラー服幽霊・早川涼子の無言のジェスチャーで身辺の異変に気づき、超自然のトラブルに巻きこまれる、という軸を守りつつ、いよいよ円熟味を増す今巻の内容は、以下の5エピソード。

食べた人間は正気を失い奴隷ゾンビ状態と化す、お菓子の蔓延を描いた「魅惑のお菓子チョコリンヌ」(前・後編)。
レストランに複数の幽霊が出没する謎を調べると霊たちの人数にカギがあった「5人の幽霊」。
ポルターガイスト現象が家から家へ移動して起こる住宅地で大量の人形を所有する老婆が怪しい行動をとる「ポルターガイスト・ニュータウン」。
妖怪めいた神を飼い馴らそうとした組織のもとへ野良の神が乱入して交尾をはじめてしまう「荒らぶる神々の夜」。
自称霊能力者に扇動されたマンションの住人たちとのご近所トラブルに見舞われる「身近にいる幽霊」。

……という具合に、バイオホラーあり、都市怪談あり、諸星大二郎テイストの神話級伝奇ありというバラエティ豊かな構成で飽きさせない。

さらに、こうしたオカルト事件へ首をつっこんでは興味を満たすために他人を利用してはばからない迷惑さが逆にキュートなオカルト研究会会長・式野さんや、霊媒アイドルの魔子、一度はついえた霊的テロリズム“神様プロジェクト”を引き継いだある登場人物の再登場など、幽霊以上にアクの強い美少女・美女キャラがふんだんに配置されるのも魅力となっている。

何かとっても恐くておもしろいマンガが読みたいなー、という方で未読ならば強くおススメしておきたい、『死人の声をきくがよい』。
お話は事件ごとに区切られているので、この新刊からまず読んでみるというのもアリだろう。
いったん読みだすとチョコリンヌを食べた人のようにやみつきになって全巻ぺろりといっちゃう可能性大ですよ。



<文・宮本直毅>
ライター。アニメや漫画、あと成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム30年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論』(総合科学出版)。「プリキュア」はSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7

単行本情報

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