日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ひとくち、ふたくち、』
『ひとくち、ふたくち、』 第1巻
倉月忍 白泉社 ¥429+税
(2016年7月20日発売)
お弁当男子でイケメン眼鏡、スペックの高い真柴くんは風紀委員長。
厳しく指導はするものの、天然たらしな体質で女子受けはよく、クラスを始め生徒たちからの信頼も厚い。
でも真柴が気にしているのは、派手めなクラスメイトの佐伯さん。
彼女の制服の校則違反よりも、つまらなそうにメロンパンやジャンクフードをお昼にしているその姿が気になってしかたがないのだ。
あまりにも不健康なその食生活を見かねて、真柴くんはついに「俺がもうひとつ弁当を作る」と口走ってしまい――。
美人だがツンツンしていると、生徒から避けられクラスでも浮きがちだった佐伯。
しかし彼女が、真柴のお弁当にだけはとびきりの表情をする。
一方の真柴はオカン気質で、佐伯のようなタイプにかまわずにはいられない。
始まりはそれだけに見えた2人が、お弁当を通じて近づき、そしていつしか特別な感情を持つようになっていく。
だがそれでも2人の中心にあるのはお弁当で、それがなんだかとてもほほえましいし、彼らの恋愛を象徴していると言えるだろう。
絵柄自体も丁寧で、キャラクターの表情からお弁当の一品一品まで細かく描かれているのもいい。
(夏のお弁当にはさりげなく保冷剤までついているなど、じつに細やかなのだ)
真柴くんのおかずレシピもついていて、佐伯さんがあれほどの笑顔を浮かべた「真柴くん家の玉子焼き」まで作れてしまうのもうれしいところ。
真柴くんと佐伯さんの関係に加え、今後の2人のお弁当のなかみも楽しみにしたい、そんな素敵な作品だ。
<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」